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香港へ試験輸出されるマレーシアの豚肉


【シンガポール駐在員 伊藤 憲一 11月19日発】最近のマレーシアにおける
豚の農家販売価格は、唯一の輸出先であるシンガポールの経済停滞などにより、同
国への輸出頭数が減少し、国内への出荷頭数が増加したために下落している。この
対策として、マレーシアでは、香港を第2の輸出市場として豚肉の試験輸出を開始
することとしている。


 マレーシアにおける豚の農家販売価格は、今年の春先から市場に出荷される成
体豚の頭数が、豚のへい死および子取り用雌豚の繁殖障害の増加、通貨危機の影
響による経営難および畜産公害に対応できない多くの中小養豚農家の離脱などが
原因となり、主産地の養豚農家を中心に減少したことから、大幅に上昇して推移
していた。

 ところが、8月まで1s当たり4.7リンギ(1リンギ=約31円)の高値で
推移してきた同価格は、シンガポールにおける経済の停滞、観光客の減少などに
より同国の豚肉の消費が低迷し、1日当たり約1万頭と見込まれているマレーシ
アの需要量の6%に相当する約600頭の豚が、同国へ輸出されずにマレーシア
の国内市場に出荷されたため、大幅に下落する結果となった。

 このため、政府、養豚業界団体などでは、同価格の安定を図るためには、香港
をシンガポールに次ぐ第2の輸出市場として確保する必要があるとして、10月
末にミッションを派遣し、400トンの豚肉の試験輸出に成功したところである。

 なお、マレーシアの豚輸出のほとんどはシンガポール向けで、97年の輸出実
績は、生体換算で103万頭となっている。

 その初荷として、マレーシアでは、11月上旬に冷蔵品4トンおよび冷凍品16
トンの合計20トンの豚肉を輸出することとしている。なお、輸送手段には航空機
を利用するため、香港着の部位別価格は、1s当たり2〜7米ドルとかなり割高と
なっているものの、今回の輸出は試験的なものとして、採算は度外視している。

 同時期に、香港の輸入業者は、マレーシアの豚肉の品質などを調査するために同
国を訪れることとなっている。問題がなければ、香港で需要の高い冷蔵子豚の輸出
が、1ヵ月当たり2千頭を見込めるとしている。今後ともマレーシアの豚肉が継続
して香港で受け入れられるならば、将来は生体輸出の可能性もあるとしている。

 最近、香港への豚肉の輸出は、大部分を占める中国の他にも、タイが積極的に輸
出攻勢をかけており、その数量は増加傾向となっている。

 しかし、先般、タイ産豚肉の輸入が急増したため、香港の農業団体などが、口蹄
疫汚染の危険がある豚肉の輸入の阻止という口実で、在香港タイ領事館の前で抗議
を行った経緯があった。また、香港の消費者も、昨年末の鳥インフルエンザ問題以
降、食肉の衛生面にかなりの神経をとがらせている。このため、マレーシア産豚肉
の輸出が軌道に乗るまでには、かなりの曲折が予想されている。

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