アルゼンチンの牛飼養頭数、99年は微増か−南米−平成11年4月第383号

ALIC/WEEKLY


アルゼンチンの牛飼養頭数、99年は微増か



【ブエノスアイレス駐在員  浅木  仁志  4月8日発】アルゼンチンの99年の牛
飼養頭数は、98年後半の価格下落に伴う肉牛生産者の売り急ぎの影響で、前年に
比べてわずかな伸びにとどまるものとみられている。同国の牛飼養頭数は、95年
以降、天候要因などにより前年を下回ってきたが、97年以降、肉牛などの価格が
大幅に上昇し、牛群再編が進むものとみられていた。

 世界第4位の牛肉生産国アルゼンチンの肉用牛の飼育地帯は、一般に次の5地域
に分類される。@パンパ地域、A北東地域、B北西地域、C中部半乾燥地域、Dパタ
ゴニア地域の5地域である。パンパ地域と北東地域とで肉用牛の総飼養頭数の約8
5%、パンパ地域だけでと畜に向けられる牛の80%を飼養している。

 94年の飼養頭数は、約5,300万頭で過去10年間で最高であった。しかし、
その後95年と96年の2回にわたる干ばつが出生率に大きな影響をもたらし、加え
て96年の穀物と油糧種子の高価格で農家は肥よくな土地を換金作物栽培に回し、
かつ、その栽培面積を広げた。このため肉用牛の飼養は不毛な辺境地域に追いやら
れるとともに、その多くがと畜された。その結果、97年は約5,000万頭という
過去25年で最低の飼養頭数となった。さらに、98年はエルニーニョ(神の子)
現象で特に北東地域において今世紀最大の洪水が発生したことにより、数百万haの
飼料穀物生産地帯が水没し、推定約50万頭の牛が失われた。そのため98年は約
4,970万頭と過去最低の水準に落ち込んだ。

 93年から97年にかけて飼養頭数は約5%減じたが、その主な原因は気候変動
と国内経済の悪化である。こうして供給が落ち込む一方、需要は伸びないまでも一
定の水準を保った結果、97年以降、誰も予想できなかったほど生体牛と牛肉価格
の高騰を引き起こした。

 98年半ばには生産者の手取りも回復し、徐々に牛群を再編する動きも出たかに
見えた。これは家畜飼料の保存を目的にサイレージ生産に農家が積極的に投資した
こと、97年から98年にかけて頭数はまだ少ないもののフィードロット肥育がブ
ームになったことなどが牛群再編の好材料と言えた。

 しかし、牛肉価格は98年半ばをピークに後半は急速に落ち込み、高値に間に合
うよう、農家は競って所有している家畜を売りに出した。その結果、99年の頭数
増加は微増で、飼養頭数の推定値は98年とさして変わらないのではないかという
のが大方の見方のようである。

 頭数の減少を食い止めるため、農牧庁は肉牛産業を振興するプログラムを発足さ
せたが効果のほどは疑問視されているようだ。

 

                                                  
         資料:コンサルタント情報 
お知らせ
  当事業団は、新たにブエノスアイレス(アルゼンチン)に駐在員を派遣いたしました。今後、
南米の畜産に関する駐在員情報を適宜掲載いたします。
      



元のページに戻る