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【デンバー駐在員 樋口 英俊 7月27日発】グリックマン農務長官は7月22 日、従業員10名未満または年間売上高250万ドル(3億円:1ドル=120円) 以下の食肉工場における危害分析重要管理点監視方式(HACCP)の円滑な導入 を図るため、オハイオ州立大学、テネシー農業大学、ペンシルベニア州立大学など の5大学に合計約10万ドル(1千2百万円)の補助金を交付すると発表した。 これらの大学は、学内の実験室などを小規模食肉工場のモデルとして活用し、H ACCPに関する技術的な訓練や情報提供を実施するとともに、工場経営者などに 対して、マンツーマンで指導することとなっている。同農務長官は、このプロジェ クトについて、大学と食肉工場による協力の模範になるものとコメントした。 また、USDA食品安全検査局(FSIS)も同日付けのニュースリリースで、 食肉工場に対するHACCP導入の支援活動について説明しており、これらの中に は、@小規模食肉工場に対するHACCP導入の推進を図るための支援を行うコー ディネーターの配置、A既に同方式を導入している大規模食肉工場による技術指導、 B特定地域での技術指導研修会の開催、Cアジア系やヒスパニック系食肉工場経営 者に対する言語上の援助(通訳)、Dガイドブックをはじめとする各種印刷物の作 成配布、E自習用ビデオの制作、Fあらゆる質問に回答する無料電話相談の実施な どの対策が含まれている。 米国では、96年7月の食肉関連規則の改正を受け、約300の大規模食肉工場 (従業員500名以上)は98年1月26日から、約2千3百の中規模工場(従業 員10名以上500名未満)は99年1月25日から、HACCPが既に実施され ており、同方式の導入計画で残るのは、来年1月25日からの小規模工場のみとな っている。 FSISは、これまでのHACCPの実施状況について、98年の大規模工場で のHACCP要件の順守率が92%と高く、発生したいくつかの問題については、 該当する工場におけるHACCP実施計画の強化などにより解決が図られたことな どから、業界および政府の努力によって円滑に導入されていると述べている。 また、FSISは、同方式の導入効果として、米国の食肉はより安全なものにな っており、疾病管理予防センター(CDC)の報告でも、サルモネラ菌などによる 食中毒発生件数が減少したとしている。 食肉の安全性の問題は、これまでクリントン大統領自らが取り上げている通り、 米国政府にとって重要な課題であり、今後、来年1月の実施期限に向けて産官学を 挙げての取り組みが続けられるものとみられる。
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