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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 8月4日発】アルゼンチン農牧水産食糧 庁によると、98年(暦年)の生乳生産量は、前年を4.5%上回る950万キロ リットル(暫定値)となり、92年以降、前年比で増加が続いている同国の生乳生 産量は、92年を44%上回る過去最大となった。 また、農牧水産食糧庁は、99年の生乳生産量について、今秋の放牧地への播種 が順調に進んだこと、トウモロコシ価格の記録的な低迷、99年初めの生乳生産の 伸びなどから、前年を5%上回る1千万キロリットルに達するものと見込んでいる。 98年の生乳生産量のうち、24%が飲用乳向け、76%が乳製品向けであり、 主な乳製品の生産量は、チーズ43万9千トン、ヨーグルト22万6千トン、粉乳 21万6千トン、同国の伝統食品であるドゥルセデレチェ(カスタードクリーム) 11万6千トン、バター5万1千トンとなっている。 同国は、乳業界による施設の近代化および加工処理能力の拡張などを背景に、こ こ数年国内生乳生産量の伸びが国内消費量の伸びを上回って推移しており、輸出量 が年々増加している。農牧水産食糧庁によると、98年の牛乳・乳製品の輸出量は、 93年に比べ5倍増の15万トン(暫定値)となった。 アルゼンチンの主要な輸出先であるブラジル向けの輸出量のシェア(98年)は、 全体の約8割を占め、品目では、全脂粉乳、脱脂粉乳、チーズなどを輸出している。 農牧水産食糧庁によると、99年1月から4月の牛乳・乳製品の輸出量は、前年 同期比28%増の6万1千トン、輸出額(FOBベース)では前年同期比5.5% 増の1億1千万ドル(127億円:1ドル=115円)となった。ブラジル向けは、 それぞれ、前年同期比41%増の4万6千トン、16%増の8千万ドル(92億円) となった。ブラジル向けは、99年1月の同国の通貨切り下げにより、トン当たり の単価が前年同期に比べ低下している。 農牧水産食糧庁は、99年の輸出について、ブラジル向けの99年後半の輸出量 は同年前半よりも増加すると見込む一方で、アルゼンチンの国内生産量の増加や国 内需要の伸び悩みなどにより、メルコスル以外への市場アクセスが拡大するものと みている。99年1月から4月では、全脂粉乳やチーズなどをメキシコ向けに前年 同期比38%増の3千トン、全脂粉乳をアルジェリア、キューバ向けにそれぞれ、 3千トン、1千トンと、新興市場への輸出が目立っている。 農牧水産食糧庁は、ブラジル向けが順調に推移し、99年1月から4月の前年同 期比において減少が見られるアメリカやベネズエラ向けが回復し、メキシコ、パラ グアイ、チリ、ボリビア向けが前年と同水準で推移すれば、99年の輸出量は20 万トンになると見込んでいる。
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