USTR、次期WTO交渉の課題を公表−北米−平成11年8月第401号

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USTR、次期WTO交渉の課題を公表



【デンバー駐在員 本郷 秀毅 8月19日発】米通商代表部(USTR)は、7
月29日付けで世界貿易機関(WTO)に提出した次期WTO交渉において取り組
むべき課題を公表した。

 声明文の中でエッサーマンUSTR次席代表は、「米国は、この数カ月間、国内
において集中的な議論を行うとともに、議会、州および地方政府、産業界、農業生
産者団体、非政府組織からコメントを求め、次期WTO交渉において取り組むべき
課題などに関するコンセンサス作りに励んできた。優先課題は、市場アクセスの拡
大、既存の約束の履行、加盟国拡大の確保である。次期WTO交渉においては、農
業、サービスおよび非農産品の市場アクセスを主要議題とし、交渉はスケジュール
通りに進めるべきである」などと語った。

 その他の関心事項として同次席代表は、@貿易と労働基準の関係、A持続的発展
のための貿易と環境に関する委員会の活用、B労働、環境、農業生産者などの関係
市民団体の参画などの問題を挙げている。

 農業分野における提案は、輸出競争、市場アクセス、国内支持およびバイオテク
ノロジーを利用した農産品貿易に影響を与える対策の4部で構成されており、その
概要は以下の通りである。

 第1に、輸出競争での目標は、@残存する輸出補助金の完全撤廃および将来にお
ける利用の禁止、A輸出補助金規定を回避できる他の手段に関する規定の明確化お
よび輸出競争をゆがめる他の対策に対する新たな規定の構築である。具体的には、
輸出国家貿易企業に係る運営の透明性の改善、食料安全保障などの関心事項に対処
するための輸出補助金の使用禁止である。

 第2に、市場アクセスでの目標は、市場アクセス機会の最大限の改善および全W
TO加盟国に対する関税譲許構造の統一化である。具体的には、@農業に関する関
税のゼロ・ゼロ提案(関税相互撤廃)を含め、関税率の削減およびその譲許(譲許
表に記載された関税率を超えて関税を一方的に引き上げないという約束)、A関税
割当品目に対する市場アクセスの拡大、B実行税率および譲許税率の格差の削減、
C複雑な関税制度の単純化、D関税制度運営の信頼性および透明性の拡大、E関税
割当制度を管理する機関および輸入国家貿易企業の透明性・競争に関する規律、F
後発発展途上加盟国に対する他のWTO加盟国によるさまざまな手段を通じた市場
アクセスの拡大である。

 第3に、国内支持での目標は、貿易わい曲的支持の削減を図るとともに、貿易わ
い曲効果の少ない「緑」の政策を保持しつつ、生産に関連したすべての支持が規律
に従うようルールを強化することである。

 第4に、バイオテクノロジーを利用した農産品貿易での目標は、不必要で恣意的
な貿易障壁を築くことなく、意志決定過程が、透明で予想可能かつタイムリーな手
続きに基づくことである。


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