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【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 12月2日発】EU委員会は、11月24日、 加盟国が行う農業補助を認可するための新たな総合的指針を採択・発表した。本指 針では、これまでばらばらに適用されてきた多数の規則等を体系化、単純化して分 かりやすくするとともに、共通農業政策(CAP)改革の内容が盛り込まれた。 EU委員会は、農業補助は特定の経済活動または特定地域の発展に資するもので なければならず、単に補助対象者の経済状況改善に資するだけの補助はEU条約に 合致するものとは認められないとしている。今回の指針により、市場価格支持制度 や農村開発計画などのCAPおよび世界貿易機関(WTO)農業協定などの国際規 律に則した農業補助を各国に徹底し、EU共通政策の円滑な推進を図るとしている。 同指針は2000年1月以降に導入される各国の新たな農業補助に対して適用さ れる。なお、現在の補助計画の下で既に行われている補助については、同指針の適 用対象外となるが、各国は1年以内(猶予期間)に補助計画を同指針に沿うように 調整しなければならない。 同指針で認められた補助の概要は、以下の通りである。 1 農場の投資に対する補助 補助の上限は原則として適用対象となる支出額の40%とする。ただし、在来 の景観保持に資する投資、公共利益のための農場建物移転投資または環境・動物 愛護・衛生改善のための投資についてはより高率補助を認める。 2 農産物加工・流通の投資に対する補助 当該農産物について一般の市場販路が存在する場合であって、補助の上限は原 則として40%(開発の遅れた地域における開発促進および構造調整に係る投資 補助については50%)とする。 3 環境保全に資する農業活動への見返りとしての補助およびその他の環境に関す る補助 4 条件不利地域におけるハンディキャップを補償するための補助 5 若年農業者就農支援のための補助 6 早期離農、農業活動の中止または生産・加工・流通施設の閉鎖に対する補助 7 生産者団体の設立に対する補助 8 自然災害、不測の事態、悪天候、動植物の病気の発生に伴う農産物生産・生産 手段の損害補償に対する補助またはそうした危険へ備える保険への加入促進のた めの補助 9 高品質農産物の生産・流通促進、生産者への技術支援および家畜の遺伝的育種 改良への補助 10 EU域外と接する国境地域およびエーゲ海諸島の特定の支援に対する補助 なお、本指針で言及されているのは、主にCAPにおける農村開発援助に関する 補助であり、EUの認める補助のすべてをカバーするものではない。 すなわち、この指針の他のEU委員会規定に沿った補助(研究開発、短期融資、 経営困難な農家の救済・再建および雇用支援への補助)も認められている。さらに、 現在、EU委員会では農産物の販売促進および宣伝についての新たな枠組みを検討 中である。
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