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【デンバー駐在員 樋口 英俊 12月2日発】連邦ミルク・マーケティング・オ ーダー(FMMO)制度改革案の修正法案を含む2000年度包括統合予算法案が 11月29日、クリントン大統領の署名により成立した。 上記修正法案においては、@飲用牛乳(クラスT)価格算定につき、現行のクラ スT差額と変わらないオプション1Aを採用すること、Aチーズ向け(クラスV) 並びに脱脂粉乳およびバター等向け(クラスW)価格算定に必要な製造経費見合額 の適正な水準を検討するため、米農務省(USDA)が公聴会を開催し、新たな算 定公式による価格設定を2001年1月1日までに実施すること、Bソフト乳製品 向け(クラスU)、クラスVおよびクラスW生乳について、生産者が先物契約を利 用するパイロット事業をこの法律の施行後90日以内に実施すること、CFMMO 制度改革案の実施と同時に廃止が予定されていた北東部酪農協定(北東部諸州に対 してFMMO制度に拘束されない高い乳価の設定を認めるもの)を2001年9月 30日まで延長することが規定されている。 なお、USDAのFMMO制度改革案のうち、マーケティング・オーダー地域の 統合(31から11へ)、基礎公式価格(BFP)について乳成分の価値に基づき 算定される新たな指標価格への変更などは、修正なしで実行に移される。 生乳生産者の団体である全国生乳生産者連盟(NMPF)のコザック最高経営責 任者は、今回の法案成立について「全米の生乳生産者の圧倒的な勝利」と歓迎した。 NMPFは、USDAの改革案について、生乳生産者の収入を年間2億ドル(約2 10億円:1ドル=105円)減少させるとして、その修正を議会に対して強力に 働きかけてきた。 また、全米最大の酪農協であるデイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカも、今 回の結果に満足の意を示すとともに、10月に成立した農業歳出法案で加工原料乳 価格支持制度が1年間延長されたことなどにも言及し、生乳生産者をめぐる経営環 境がより安定的なものになったとのコメントを発表した。 新たなFMMO制度は、2000年1月から実施されることとなっているが、現 在USDAのFMMO制度改革案の実施をめぐって酪農協の裁定申請に基づく訴訟 が数ヵ所で行われており、この解決が実施の前提となる。当初、USDAのFMM O改革案については、生乳生産者投票での承認により所定の手続きを完了し、10 月1日からの実施が予定されていた。しかし、訴訟により連邦裁判所が暫定的禁止 命令を下したことから、施行が猶予された状態となっている。 修正法案の成立により、酪農家への影響が緩和されると見込まれることで、酪農 協の訴訟を継続する根拠が弱まり、訴訟は解決に向かうのではないかとの見方があ るものの、現在審理が行われているところであり、予断はできない。
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