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シンガポール、高品質な国産鶏卵を奨励


【シンガポール駐在員 伊藤 憲一 2月18日発】シンガポール第一次産品局
(PPD)は、消費者に良質な鶏卵を供給すると同時に国内の鶏卵生産者の健全な
育成のため、生産、保管、包装などの各段階において、PPDが定めた衛生基準を
満たす鶏卵の生産・出荷を奨励する高品質鶏卵計画(SQES)を展開している。

 シンガポール人の多くは、価格の高い食品からたんぱく質を摂取するより、安価
で新鮮な鶏卵から、多くのたんぱく質を摂取することを要望している。

 この要望を満たすため、PPDは、消費者に新鮮で良質な鶏卵を供給すると同時
に国内の鶏卵生産者などの健全な育成を図るために、PPDが生産、保管、包装の
それぞれの段階において衛生基準を定め、これらを満たす鶏卵の生産・出荷を奨励
するSQESを展開している。

 この基準を満たす鶏卵には、PPDから高品質の証であるSQESのロゴマーク
を付けることが許可される。

 PPDはSQESの実施により、消費者には、新鮮で良質な国産鶏卵とそれ以外
の区別が容易になり、さらに生産者には、国内で鶏卵産業として成り立つための改
善すべき多くの事項が把握できるとともに、PPDの支援により衛生基準を満たす
ことができるなどとし、その効果が大いに期待できるとしている。

 鶏卵生産者がSQESに参画するには、飼養する採卵鶏の健康状況などPPDが
定める選定基準に合格した上で、年間登録料として500シンガポールドル(1シ
ンガポールドル=約70円、以下「S$」という。)をPPDに支払う。また、生
産者は、毎週、出荷前の鶏卵から無作為に抽出した300個について、PPDの検
査官による鮮度および清浄度などの検査を受けることとなる。なお、PPDの選定
基準を満たさなくなった場合、もしくは検査に不合格となった生産者は、登録を取
り消されることとなる。現在のところ、PPDの選定基準を満たし登録されている
のは、大規模な7生産者のうち5者のみとなっている。

 今般、SQESのロゴマークが付された鶏卵(以下「SQES鶏卵」という。)
が、労働組合が運営する量販店に初めて登場した。SQES鶏卵の小売価格は、1
パック(10個)当たり1.45〜2.5S$となっており、1.1〜1.5S$
で販売されているマレーシア産鶏卵と比べ割高となっている。しかし、2月17日
までのプロモーション期間中、2.5S$パックを購入した消費者には、6個入り
の鶏卵1パックが無料で提供された。

 同量販店は、現在、数種類の輸入鶏卵を企業ブランドとして販売している中で、
これを契機として、SQES鶏卵を新しいブランドとして確立するために、PPD
の登録生産者に働きかけたいとしている。

 なお、同国の97年の鶏卵生産量は、消費量の約35%に相当する約3億2千万
個、また、シンガポール人1人当たりの年間の鶏卵消費量は、約270個となって
いる。



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