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米、99年はセーフティネットの強化が柱


【デンバー駐在員 本郷 秀毅 1月13日発】グリックマン農務長官は、先般、
98年の米農務省(USDA)による農業対策の総括を行うとともに、99年に取
り組むべき優先課題を表明した。それによれば、USDAは、98年は災害などに
対する農家の支援措置に集中したが、99年はしっかりした危機管理対策の構築が
必要になるとしている。

 グリックマン農務長官は、昨年末、恒例のプレス・コンファレンス等を通じて、
98年にUSDAが実施した農業対策を振り返るとともに、99年に同省が取り組
むべき優先課題を表明した。概要は以下のとおり。

 まず、98年については、第1に、農産物価格の低迷および災害を受けて措置さ
れた農家緊急支援対策を挙げている。総額約60億ドル(約6千6百億円:1ドル
=110円で換算)のうち約30億ドル(約3千3百億円)については、既に感謝
祭(11月26日)までに対象農家に支払われており、この結果、98年の農家へ
の直接支払の総額は、130億ドル(約1兆4千億円)に上った。残りの30億ド
ルについても、今年の春までには支払われる予定である。

 第2に、海外市場の米国産農産物への解放である。USDAは、米国産農産物の
輸出拡大を図るため、正当な科学的根拠に基づき、合計77の輸入障壁を崩し、総
額22億ドル(約2千4百億円)に上る輸出機会の創造を支援した。この中には、
カナダに対する米国産小麦、肉用牛、肉豚などの輸出機会の拡大や、米国産豚肉、
鶏肉および牛肉の輸出に対する台湾市場の解放などが含まれる。

 また、輸出市場を維持するため、輸出信用保証事業に基づく輸出に対して、前年
を50%上回る総額40億ドル(約4千4百億円)の輸出信用保証を供与した。さ
らに、世界中の飢餓に悩む人々に対して、8百万トン以上の農産物の援助を約束し
た。

 第3に、農場から食卓までの食品の安全性確保のため、食品安全性確保システム
の近代化を図ったことである。USDAは、98年1月、約300の大規模食肉処
理加工場に対して、科学に基づく新しい食肉及び家きん肉の検査方法である危害分
析重要管理点監視方式(HACCP)を導入した。予備調査の結果、これらの食肉
処理加工場では、豚肉および家きん肉のサルモネラ菌が大幅に減少していることが
分かった。

 また、クリントン大統領は、食品に起因する疾病をより効果的に防止するため、
共同食品安全研究所を設けるとともに、関連機関の調整を図る食品安全審議会を設
けた。

 他方、99年については、いくつかの優先課題を表明した。中でも、主要な穀物
保険の改革を通じて、農業セーフティネットの強化を図ることを第1に掲げている。
グリックマン農務長官は、「98年は危機管理の年であったが、99年はセーフテ
ィネットの年にしたい」と語り、強力なリスク管理システムの構築に向けて意欲を
示している。

 このほか、さらなる輸出機会の拡大、学校朝食事業の拡大、HACCPシステム
の約2,500の中小規模食肉処理加工場への適用、保全事業の活用を通じた水質
保全、全国オーガニック基準に係る規則の制定、連邦ミルク・マーケティング・オ
ーダー制度の改革などを挙げている。
 

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