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【シドニー駐在員 藤島 博康 6月17日発】豪州資源農業経済局(ABARE) は6月15日、第1次産品に関する短期的な需給予測を発表した。これによると、 99/2000年度(7月〜6月)は、牛肉生産は価格上昇を反映した肉牛の出荷 抑制により減少、生乳生産は近年の拡大傾向を維持し100億リットルの大台突破 と予測されている。 豪州の国内生産量の低下と、アジア地域での需要回復により、主要輸出市場であ る環太平洋地域での牛肉需給が引き締まる傾向にあると予測。このため、対米ドル での豪ドル高というマイナス要因があるものの、肉牛価格は値上がり傾向にあり、 99/2000年度の平均生体市場価格は、前年度を5豪セント(約4円:100 豪セント=81円)上回るkg当たり200豪セント(約162円)まで上昇すると している。
97/98 |
98/99f |
99/2000f |
|
肉用牛頭数(百万頭) |
26.1 |
25.9 |
26.1 |
と畜頭数(千頭) |
9,322 |
9,040 |
8,585 |
生産量(千トン) |
1,955 |
1,987 |
1,914 |
生体市場価格(豪セント) |
172 |
195 |
200 |
輸出金額(百万豪ドル) |
2,610 |
2,904 |
2,838 |
搾乳牛頭数(千頭) |
2,002 |
2,032 |
2,067 |
1頭当たり乳量(リットル) |
4,715 |
4,872 |
4,983 |
生乳生産量(百万リットル) |
9,439 |
9,900 |
10,300 |
加工原料乳価(豪セント) |
23.9 |
24.5 |
23.0 |
輸出金額(百万豪ドル) |
1,937 |
2,194 |
2,120 |
資料:ABARE 注: f は予測値、頭数は3月末時点 |
99/2000年度の牛肉生産量は前年度より4%の減少と予測されている。今 後は価格の上昇を反映し、生産者の増頭意欲の高まりによる繁殖用の雌牛保留が全 体の出荷頭数に抑制要因として働く。 アジア経済危機により市場を失い激減した生体牛輸出は、今年に入って前年同月 を大幅に上回って推移。また、ここ数ヵ月、韓国の牛肉消費が大きく改善し、同国 向けの輸出増が期待されるなど、96年からの価格低迷にあえいだ肉牛生産者には 明るい話題が多い。しかしながら、経営難から、施設閉鎖や一時的な操業停止など に関する報道が絶えないと畜加工業界には、原料となる肉牛価格高はなお一層し烈 な生存競争をもたらすものとみられる。 一方、乳製品については、脱脂粉乳は米国とEUによる補助金付き輸出の増加に より、バターは最大の輸入国ロシアの消費低迷により、それぞれ国際価格は軟調に 推移すると予測。これに、豪ドル高というマイナス要因も加わり、99/2000 年度の乳製品輸出は数量では増加も、金額ベースでは前年度より3%低下するとし ている。この結果、そのうち約6割が輸出向けとなる加工原料乳の農家販売価格は 99/2000年度には前年度を6%下回るとみている。 生乳生産に関しては、天候要因などは例年並みとの前提で、生乳生産者が価格( 単価)の低下分を生産量の増加で補うよう調整を図ることによって、99/200 0年度の生乳生産量は103億リットルまで拡大すると予測している。なお、豪州 酪農庁ではABAREの予測に対して、加工原料乳価格の下落幅はさらに大きく、 その反動で生乳生産量の増加ペースも加速し、生産量は98/99年度で100億 リットルを超え、99/2000年度もABAREの予測を上回って増加するとの 見方を示している。 ABAREの予測では触れられていないが、乳製品や食肉業界には、決して喜べ た理由ではないとの前置きながら、ベルギーの畜産物のダイオキシン汚染問題に関 しては「問題発生後、豪州産品に対する照会が急増するなど兆候が見られる」とし、 アジア向けを中心に豪州の畜産物全般の輸出に追い風となる見方が強い。
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