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米、豚肉生産者団体が加工場建設構想を発表



【デンバー駐在員 藤野 哲也 6月18日発】全国豚肉生産者協議会(NPPC)
は6月10日、減少する豚肉処理加工場のと畜処理能力を補完するとともに、肥育
豚価格の安定に資するため、生産者協同組合方式による豚肉処理加工場の建設構想
を発表した。詳細は特別委員会で検討されることになるが、今後さまざまな議論を
呼ぶものとみられている。

 NPPCは6月10日、NPPCボード理事会の採決結果を受けて、減少する豚
肉処理加工場のと畜処理能力を補完するとともに、肥育豚価格の安定に資するため、
生産者協同組合方式による豚肉処理加工場の建設に係る特別委員会の設置などを発
表した。

 NPPCボード理事会は、本案件を、賛成14、反対0、棄権1(パッカー代表
の理事)という投票結果で採択している。

 この背景には、昨年来の記録的な肥育豚価格の低迷がある。価格低落の原因の1
つとして、肥育豚出荷頭数が生産の拡大により豚肉処理加工場のと畜処理能力を上
回っていたことが挙げられており、NPPCは、パッカーに対して、と畜処理能力
の向上や米国産の肥育豚をカナダ産よりも優先して処理することなどを要請してい
た。NPPCの調査によれば、1日当たり250頭を超えると畜処理能力のある豚
肉処理加工場合計の処理能力は、98年2月時点で約41万5千頭/日であったも
のが、食肉処理加工場への環境規制の強化や設備の老朽化による工場閉鎖などによ
り、99年2月には約38万9千頭/日(前年比6.2%減)と96年水準にまで
落ち込んでいる。

 一方、豚肉の小売価格は、肥育豚価格の下落率と比較してそれほど低下していな
いため、生産者側の不満材料となっている。

 NPPCの構想では、生産者協同組合が、肉豚のと畜、加工処理に加え、豚肉や
豚肉加工品の販売までを行い、製品ブランドの確立などを通して消費者ニーズに合
った付加価値の高い豚肉生産を図るとともに、生産者から肥育豚をより高い価格で
買い入れるという役割を果たすとしている。

 現段階では、設立する生産者協同組合の数、豚肉処理加工場の設置場所や建設数
など具体的なことは決まっていないとしているが、NPPCのアラン・タンク会長
は、計画の初期段階として3つの豚肉処理加工場の建設を提案するとともに、1日
当たり8千頭または6千頭規模(1交替制)のと畜処理能力規模を例として挙げて
いる。

 また、豚肉処理加工場の建設時期などについても未定としながらも、ピッグサイ
クルの上昇局面により、2002年までには再び肥育豚の生産がと畜処理能力を上
回るとの見通しを引用して、それまでには対応する必要があるとしている。

 なお、NPPCは、生産者協同組合の運営する豚肉処理加工場の設立に当たり、
生産者協同組合の成功例であるブロイラー加工処理工場としては全米第2位のゴー
ルド・キスト社やオレンジのサンキスト社、また、海外では豚肉生産者協同組合で
あるデンマーク豚肉輸出機構連合を参考にして検討すべきであるとしている。

 今後、この構想を検討することになる特別委員会は、豚肉処理加工場の建設コス
ト面などさまざまな課題に直面し、う余曲折も予想されるものの、アラン・タンク
会長の「何もしないという選択肢は存在しない」という言葉が、米国養豚産業の置
かれている厳しい現状を反映していると言える。

 

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