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【シドニー駐在員 野村 俊夫 3月25日発】豪州検疫検査局(AQIS)は、19日、 主に家畜飼料として使用される米国産トウモロコシの輸入検疫条件を改定する具体案を公 表した。これに対し、豪州フィードロット協会(ALFA)を中心とする畜産業界側は、 当該案の条件が厳し過ぎると反発しており、今後の成り行きが注目されている。 豪州で生産されるトウモロコシは、大部分が国内で飼料用等に利用されているが、気象 および土地条件の制約からその生産量は少ない。このため、家畜飼料用の穀物としては、 主に麦類・ソルガムなどが利用されている。
豪州の主要穀物需給(98/99年度予測) (単位:千トン)
生産量 | 輸出量 | 国内消費量 | |||
飼料用 | 食用 | その他 | |||
小麦 | 21,108 | 15,000 | 2,341 | 2,148 | 558 |
大麦 | 5,379 | 3,163 | 1,836 | 151 | 129 |
えん麦 | 1,142 | 123 | 867 | 116 | 36 |
ソルガム | 1,375 | 362 | 1,010 | 0 | 3 |
トウモロコシ | 310 | 14 | 223 | 97 | 1 |
合計 | 29,314 | 18,662 | 6,277 | 2,512 | 727 |
資料:ABARE "CROP REPORT" 一方、豪州の穀物生産は干ばつなどの気象変動の影響を受けやすく、不作の年は需給ひ っ迫により価格が大幅に上昇する。このため、AQISは、かねてからトウモロコシを含 む飼料穀物の輸入検疫条件の緩和を求められていた。 しかし、豪州における農作物の輸入検疫条件は極めて厳しく、飼料用トウモロコシを輸 入する場合には、AQISが指定する地域(輸入港周辺)の工場で加熱殺菌・加工処理 (薫蒸・粉砕など)を行うことなどを含む、詳細な諸条件が定められており、施設やコス トの面から適宜十分な量の輸入を行うことが困難な状況となっている。 このため、AQISは、米国からのトウモロコシの輸入を想定して、病原菌、害虫、雑 草侵入等の危険性に関する調査研究を行ってきたが、今回の改定案はこの結果を基に作成 された。 その内容は、@病害の少ない米国北部産のものに限定すること、A米国穀物品質規格で グレード2以上の品質のものとすること、B米国北部太平洋岸の輸出港で船積みすること、 C輸出港湾地区の加工施設において、AQISにより定められた加熱殺菌等の加工処理を 行うこと、D加工処理後は定められた温度・湿度条件を維持すること、E米農務省動植物 検疫局(APHIS)または同穀物検査局(FGIS)の係官が加工処理後のサンプルを 採取し、AQISに空輸して適切な加工処理が行われたかどうかの検査を受けること(A QISの合意があれば上記のいずれかの機関が米国内で検査することも可能とする)、F 船積み前は他の貨物から隔離して保管すること、G保管倉庫から港までの運搬は定められ た条件に従うこと、HAPHISはAQISに植物検疫証明書を発行すること、I本船の 衛生管理については船積み・出港前にFGISが検査・証明すること、J本船到着後はA QISが現品検査を行い、事前サンプル検査の結果と相違ない旨を確認した上で検疫地域 から出荷することとされている。 これに対し、ALFAを中心とする畜産業側は、改定案の内容では現実的な輸入対応が 行えないと反発している。 AQISは、2ヵ月後の5月18日まで改定案に対する各界の意見を受け付けるとして おり、畜産業界側からの具体的な反論が注目されている。
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