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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 3月23日発】米通商代表部(USTR)は3月22日、 EUによるホルモン投与牛肉の輸入禁止措置に対して、その制裁措置として、100% 関税の対象となる候補品目のリストを公表した。候補品目のリストには、牛肉、豚肉、 家きん肉、トマトなどの食品に加え、オートバイなど合計81品目が含まれている。 EUが家畜に対する合成ホルモンの使用を禁止し、ホルモンの投与された家畜および その食肉の輸入を禁止するとの指令が発効したのは、89年1月にまでさかのぼる。 この指令が発効するまでの間、米国は、ガットにおける紛争処理手続きを含め、2国 間、多国間による紛争の解決を目指した。また、EUの指令等に対して 、87年12月、 特定品目の関税引き上げによる制裁措置を発表したものの、交渉による解決を図るとして、 この発表は即座に取り下げられた。しかし、89年1月、EUが実際に米国産牛肉の輸入 禁止措置を講じるに及んで、USTRは関税引き上げ措置を発効させることとなった。 95年1月、世界貿易機関(WTO)協定および衛生植物検疫措置の適用に関する協定 (SPS協定)の発効後、米国はEUのホルモン投与牛肉の輸入禁止措置に対して、公式 にWTO紛争処理手続きを開始し、その後カナダがこれに参加した。これを受けて、96 年5月、EUの措置がWTO協定に適合しているかどうかを検討するため、WTO紛争処 理小委員会(パネル)が設置された。 97年8月、WTOパネルは、EUの措置は科学的証拠に基づかず、SPS協定に反す るとする裁定を下した。さらに、98年1月、上級委員会も同様の裁定を下している。 その後、EUは紛争処理機関による勧告および裁定の実施に4年間の猶予を要請した。 しかしながら、WTO仲裁パネルは、この期間を15カ月で十分であるとして、99 年5月13日をWTO裁定の実施期限とした。 今月開催されたWTO紛争処理機関の会議において、EUは17におよぶ追加リスク アセスメントを実施中であり、実施期限までには間に合わないことを示唆した。 こうした経緯を踏まえ、USTRは3月22日、EUが5月13日の実施期限までに WTO裁定に従わない場合、その制裁措置として、100%関税の対象となる候補品目 のリストを公表した。候補品目は、牛肉、豚肉、家きん肉およびそれらの調製品、ロッ クフォール・チーズ、トマトなど、ほとんどが食品関係であるが、そのほかオートバイ なども含まれている。最終的な対象品目は、これらの候補品目の中から絞り込まれる。 このようなUSTRの発表を受けて、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は引き 続き、米政権に対して、WTOの信用性が損なわれぬよう支持させたいと表明した。ま た、USTRの公表した候補品目の輸入総額は9億ドル(約1千80億円:1ドル= 120円で換算)相当とされているが、NCBAは、少なくとも損失額に相当する5億 ドル(約6百億円)相当の品目に対して、関税引き上げによる制裁措置が必要であると している。 米・EU間の貿易紛争は、3月3日に公表されたバナナ紛争に関する制裁措置の発表 に加え、ベルギーおよびイタリア産のステンレスに対するアンチダンピング関税の発表 もあり、ますますエスカレートしつつある。
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