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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 5月4日発】米通商代表部(USTR)は、対中 国・世界貿易機関(WTO)加盟交渉の途中成果を公表した。これによれば、農畜 産物の関税が大幅に引き下げられることとなっているなど、中国から大幅な譲歩を 引き出したことから、最終合意には至っていないものの、畜産関係団体は一様に歓 迎の意を表明している。 クリントン大統領と朱首相による米中首脳会談の結果を踏まえ、USTRは、対 中国WTO加盟交渉の途中成果を公表した。公表された資料は、@農業市場アクセ ス、A工業製品市場アクセス、Bサービス、C議定書および作業部会報告によるコ ミットメントの4部構成となっている。 農業市場アクセスに関する合意では、ほとんどすべての品目を関税に基づくシス テムに移行するとしている。特に注目すべきは、関税水準を米国の主要貿易相手国 よりも低い水準としたことに加え、米国の生産者にとっての優先品目については、 さらなる関税の削減を図ったことであろう。 主な農畜産物の関税削減に関する合意内容は以下の通りであり、これらは、中国 のWTO加盟と同時に実行に移されることとなっている。 現行 2004年 ・牛肉 45% 12% ・豚肉 20% 12% ・家きん肉 20% 10% ・チーズ 50% 12% ・アイスクリーム 45% 19% ・かんきつ類 40% 12% ・リンゴ 30% 10% この結果、中国の農産物に関する平均関税率は17%となり、米国の優先品目に ついては14.5%まで引き下げられる。なお、最終期限が2004年とされたの は、ウルグアイ・ラウンド合意に基づく関税削減の最終実施期限(開発途上国)に 合わせたためである。 バルク商品については、関税割当制度が適用され、関税割当内の関税水準はおお よそ1〜3%となる。主要品目の関税割当枠は以下の通りである。 加盟初年度 2004年 ・小麦 730万トン 930万トン (現行輸入水準は200万トン) ・トウモロコシ 450万トン 720万トン (現行輸入水準は25万トン) ・米 260万トン 530万トン (現行輸入水準は25万トン) ・ 大麦:関税割当枠を設定せず、関税率を9%まで削減 このほか、中国は米国との2国間協定に基づき、食肉、かんきつ類および小麦に 関する検疫衛生規則に基づく輸入禁止措置を、本協定の署名と同時に撤廃すること とした。食肉については、これまでホテル・レストラン向けに2社だけが輸入でき ることとなっていたが、中国が米農務省(USDA)の安全性に関する証明書を受 け入れることとしたことにより、米国産の牛肉、豚肉および家きん肉に対して中国市 場が開放されることになる。 以上のほか、主要商品に対する国家貿易企業の役割・関与の削減および輸出補助金 の撤廃などが合意された。 こうした合意内容の公表を受けて、畜産関係団体は一様に歓迎の意を表明している。
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