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【ブラッセル駐在員 井田 俊二 5月20日発】EU統計局(EUROSTAT)が、こ のたび97年までのEUにおける乳用牛1頭当たりの年間平均乳量を公表した。こ れによると、97年の平均乳量(15カ国)は5,435sで前年並みとなったも のの、75年と比較すると22年間で約5割増加している。 EU統計局は、このたび75年〜97年のEUにおける乳用牛1頭当たりの年間 平均乳量を公表した。 国別平均乳量の推移は次の通りである。
(単位:s/頭、%)
国 名 | 75 | 85 | 95 | 97 | 97/75 |
ベルギー デンマーク ドイツ ギリシャ スペイン フランス アイルランド イタリア ルクセンブルク オランダ オーストリア ポルトガル フィンランド スウェーデン イギリス |
3,653 4,447 4,011 - - 3,249 2,513 3,084 3,481 4,579 - - - - 4,224 |
3,920 5,580 4,684 2,969 - 4,265 3,771 3,571 4,310 5,232 - - - - 5,010 |
4,911 6,593 5,457 4,243 4,802 5,520 4,171 4,913 5,529 6,398 4,246 4,292 6,122 6,781 5,537 |
5,089 6,688 5,639 4,083 4,723 5,653 4,122 4,951 5,549 6,722 4,521 4,554 6,168 7,109 5,961 |
139.3 150.4 140.6 - - 174.0 164.0 160.5 159.4 146.8 - - - - 141.1 |
9カ国 15カ国 |
3,669 - |
4,473 - |
5,448 5,382 |
5,597 5,435 |
152.5 - |
(参考)日本 | 4,232 | 6,019 | 6,986 | 7,308 | 172.7 |
97年のEU(15カ国)の平均乳量は、5,435sで96年(5,440s) とほぼ同じであった。 しかしながら、75年のEU(9カ国)平均乳量(3,669s)と比較すると 22年間で52.5%(1,928s)と大幅に増加した。要因の1つとして、飼 養管理技術の改善および育種改良による生産性の向上などを挙げている。さらに8 4年の生乳生産クオータ制度の導入が生産量を抑制させる一方で、酪農家は経営安 定のため1頭当たり乳量を増加させる動きが強まったとしている。これにより、ク オータ制度の下、生乳生産量は安定的に推移したことから、乳用牛飼養頭数は一貫 して減少することとなった。この間、酪農家戸数の減少および経営規模の拡大もみ られた。 この期間における平均乳量の増加率が大きかったのは、フランス(74%増)、 イタリア(60.5%増)などで、これらの加盟国では乳用牛飼養頭数の減少およ び経営規模拡大の進展が相対的に大きかった。 なお、EU全体の平均乳量の増加傾向は継続しているものの、最近の増加率は8 0年代以前と比較して低下している。 97年の平均乳量を加盟国別に見ると、スウェーデン(7,109s)、オラン ダ(6,722s)、デンマーク(6,688s)およびフィンランド(6,16 8s)の4カ国が6,000sを超える一方、ギリシャ(4,083s)が最も低 く、スウェーデンの約6割の水準であり、加盟国間での格差が大きい。平均乳量は、 一般的に北部加盟国で高く、南部加盟国で低い傾向にある。 EUにおける97年12月現在の2歳以上乳用経産牛飼養頭数は2,173万頭 で、97年の生乳生産量は1億2千1百万トンとなっている。
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