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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 10月26日発】アルゼンチンの家きん 肉生産は、91年の兌換(だかん)法導入以降、経済の安定化に伴う投資の増加に より、生産設備や処理加工施設の近代化が進んだことから、大幅な増加がみられる。 アルゼンチン農牧水産食糧庁によると、98年の家きん肉生産量(可食処理ベー ス(骨付き):推計値)は、前年を13.8%上回る85万5千トンと記録的な水 準に達した(家きん肉生産のうち98〜99%が鶏肉と推測されている。)。今年 に入っても増加傾向は続き、99年1〜8月(速報値)は、前年同期を10%上回 る59万5千トンとなった。なお、99年の生産量は、89万トンになると見込ま れている。 98年の鶏肉(調製品を含む。)の輸入量は6万4千トンであった。99年1〜 6月の輸入量2万3千トンのうち、ブラジルからの輸入は99%を占める。その他 はチリや米国などからの輸入である。品目別シェアでは、丸どり85.4%、骨付 き部分肉11.2%、その他3.4%である。同期間におけるブラジル産冷凍鶏肉 (丸どり)の輸入価格(CIFベース)は、0.99ドル(109円:1ドル=1 10円)/kgである。 98年の鶏肉(調製品を含む。)の輸出量は、2万6千トンであった。このうち、 モミジ(鶏の足の部分)が全体の約6割を占め、中国や香港に輸出されている。 98年1〜7月の鶏肉平均価格(丸どり)は、卸売価格(税抜き)では、前年同 期を17%下回る1.15ドル(127円)/kg、小売価格(税込み)では、11 %下回る2.10ドル(231円)/kgとなっている。同国における鶏肉需要は、 丸どりが主流であるが、骨付き部分肉や冷凍処理製品も増加傾向にある。 98年の1人当たりの家きん肉消費量(可食処理ベース(骨付き))は、91年 の11.9kgから2倍強の25.4kgへ増加した。その他の食肉消費量(枝肉ベー ス)を91年と98 年で比較してみると、牛肉は76.9kgから17.0kg減 の59.9kg、豚肉は4.6kgから2.6kg増の7.2kg、羊肉は2.4 kgから0.8kg減の1.6kgとなっている。 鶏肉消費の拡大は、健康志向への高まり、食生活やライフスタイルの変化なども 要因として挙げられるが、鶏肉の小売価格が低下し、牛肉に対し価格競争力をもっ たことが大きく寄与している。
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