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【ブラッセル駐在員 井田 俊二 10月28日発】EUの食品に関する常設委員 会は、10月21日、遺伝子組み換え食品および食品原料(以下「GM食品等」) の表示に関する追加基準案を採択した。 GM食品等の各成分に1%を超える遺伝子組み換え物質(タンパク質またはDN A)が混入する場合、その表示が義務付けられる。現行のGM食品等の表示に関す る規則(EU議会および理事会規則258/97、理事会規則1139/98)で は、GM食品等の表示義務を定めているが、遺伝子組み換え物質の最低基準値は定 めていなかった。この提案は、同規則を補完するものである。 この最低基準値は、非GM食品等の製造に当たり偶発的に遺伝子組み換え物質が 混入した場合に適用される。次の条件を満たさない場合には、遺伝子組み換え物質 の表示が義務付けられる。 ・製造者が、食品等の原料として故意に遺伝子組み換え物質を使用しなかったこと ・偶発的に存在する遺伝子組み換え物質の各成分における含有量が1%以下である こと この提案は、食品等製造業者が非GM食品等の製造に際し、偶発的に遺伝子組み 換え物質が混入してしまった場合の表示方法を法的に担保する目的で定められた。 なお、この対象は、遺伝子組み換え大豆およびトウモロコシであるが、最終的に EUで使用が認められているその他のGM食品等も含まれるとみられる。 また、この提案と同時に、遺伝子組み換え物質から生産される食品添加物および 香料に対しても同様の提案が採択された。 EU委員会では、今後、EU議会の意見を踏まえて、99年末にこの提案を実施 することとしている。 今回の提案に対し、環境保護団体は、既に一部の食品等製造業者および大規模小 売店で、もっと厳格な最低基準値(0.1%)を適用しており、表示義務の最低基 準値(1%)が高すぎると指摘している。これに対し、EU委員会は、最低基準値 を各成分ごとに適用することから全体として比率が1%より低くなること。また、 最低基準値を低く設定した場合、技術的に正確な定量が困難であるとコメントとし ている。 EU委員会は、この最低基準値をもって「非GM食品等」とはせず、「非GM食 品等」の定義については別途基準を定めることを示唆している。また、今後、遺伝 子組み換え家畜飼料についても表示規則を整備するとしている。食品等の原料につ いては、今後、一層厳格な分別が求められることが予想される。したがって、今後、 こうした動きに対応した生産・流通面での体制整備が必要になるとみられる。
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