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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 10月27日発】米商務省(DOC)は10月1 3日、カナダからの生体牛の輸入に関する相殺関税調査およびアンチダンピング調 査について、最終決定を発表した。 相殺関税調査については、カナダの肉牛生産に対する補助金の割合は0.77% と、無視できる水準であるとして調査の打ち切りを表明した。他方、アンチダンピ ング調査については、調査対象企業ごとにアンチダンピング関税の水準が異なり、 0.62%〜15.69%と決定された。0.62%と決定された企業については、 無視できる水準であるとしてアンチダンピング関税は免除される。今回、個別に関 税率が示された6社以外のすべての企業では、アンチダンピング関税は5.63% と決定された。 この問題は、米国の肉牛生産者団体の1つである牧場主・肉用牛生産者行動法律 財団(R−CALF)が、98年11月、カナダおよびメキシコからの生体牛の輸 入に対してアンチダンピングなどの提訴を行ったことに端を発する。このうち、メ キシコからの生体牛輸入に対するアンチダンピング提訴は却下され、カナダからの 生体牛輸入に対する相殺関税調査およびアンチダンピング調査が継続されていた。 今回のDOCの決定は、アンチダンピング関税の率などを微修正しながらも、D OCが5月に発表した相殺関税に関する仮決定および7月に発表したアンチダンピ ングに関する仮決定を追認するものとなった。 今回のDOCの発表に対して、カナダのバンクリフ農業・農産食料相およびペテ ィグルー国際貿易相は共同声明を発表し、DOCがカナダからの生体牛の輸出は相 殺関税の対象とならないと決定したことに対して満足の意を表明した。 他方、アンチダンピング調査に対して、バンクリフ農業・農産食料相は、「カナ ダからの輸入が米国の肉牛生産者に損害を与えていないのは明らかである。米国の 肉牛産業の規模はカナダの8倍もあり、かつ、カナダからの輸入は米国でと畜され ている頭数の4%にも満たないことを考慮すれば、カナダからの生体牛の輸入が米 国の(肉牛)価格(の低下に対して)に責任があるという主張はばかげている」と 語った。 カナダの肉牛が米国の市場で生産コストを下回って販売されていると決定された ことに対して、両大臣は、調査対象期間の肉牛価格が国境を挟む両国で下降局面に あったことに留意すべきであると指摘した。 アンチダンピング調査については、米国際貿易委員会(ITC)が11月17日 までに最終的な決定を下すこととなっており、それまでの間は、今回決定された関 税率が暫定的に適用される。ITCがDOCの決定を支持すれば、DOCは、アン チダンピング関税指令を交付することにより、正式にアンチダンピング関税を課す こととなる。
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