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【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 11月4日発】EUにおける牛海綿状脳症(B SE)の発生に伴うイギリス産牛肉の輸出禁止措置は、8月に解除されたが、EU 加盟国のうち、今なおフランス、ドイツはイギリス産牛肉の輸入禁止措置を継続し ている。 フランスは、その根拠として、同国食品安全局(AFSSA)のレポートを9月 30日に公表していたが、10月29日、EUの科学委員会はフランスの主張には 新たな科学的根拠はなく、生年月日に基づく輸出措置(DBES)の下で輸出管理 されるイギリス産牛肉の安全性に問題はないと全会一致で再確認した。 11月2日、イギリスのブラウン農業大臣およびフランスのグラバニ農業大臣は、 EU委員会の仲介により問題解決に向けた話し合いを行い、フランスの挙げた関心 事項5項目(追跡可能性、検査、加工品、管理、表示)について5日以降専門家協 議を実施することで合意した。 この問題は、両国で大きく取り上げられ、イギリスにおけるフランス産農産物不 買運動などを引き起こしている。これまで、EU委員会のバーン公衆衛生および消 費者保護担当委員は、食品の安全性にかかる問題であるため、科学的な判断を優先 するとしつつも慎重な対応をとってきた。この背景には、新体制におけるEU委員 会の結束の乱れを拡大したくない意向が見える。ただし、問題が長期化すれば、E U委員会としてフランスの反対姿勢に対して何らかの法的措置も検討しなければな らず、積極的な調停作業を開始することとなった。イギリスのブラウン農業大臣も バーン委員同様に平和的解決(新たな根拠がなければ、フランスが自主的に輸入禁 止を解除すること)を期待している。 AFSSAのレポートに対するEU科学委員会の見解では、BSEに罹患した牛 を臨床的な症状が出る前に診断する早期検査の有用性はまだ評価されておらず、ま た、イギリスにおけるBSE発症数は減少しており、新たな感染ルートは確認され ないとしている。さらに、最新の高感度検査法についてはまだ評価されておらず、 野外検査にも適さないと指摘した。このことから、現状では、DBES輸出管理の 見直しの科学的根拠はないと結論した。 一方、ドイツは、イギリス産牛肉の輸入禁止措置に関し、手続きの必要性以外の 特別な根拠は挙げていないが、国内では輸入に反対している州が多く、イギリス・ フランス間の問題解決まで、輸入禁止措置は継続するものと見込まれる。 なお、イギリス産牛肉については、8月からDBESの下で輸出が解禁されたが、 その対象は、と畜時に6ヵ月齢を超え30ヵ月齢未満の牛から生産された骨を除去 した牛肉および牛肉製品である。また、牛肉を生産するための牛は、病気の原因と される肉粉・骨粉飼料の使用が禁止された96年8月1日以降に生まれたもので、 その母牛は子牛が6ヵ月齢になるまで生存しBSEを発症しなかったことが要件と なっている。さらに、BSEを発症した母牛から生産された子牛はと畜とう汰され ることとされている。
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