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ヒルトン枠の新配分方法をめぐる動き(アルゼンチン)



【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 11月10日発】現在、EUは、アルゼ
ンチンに対し、高品質な生鮮冷蔵・冷凍牛肉に対する関税割当である高級牛肉枠
(ヒルトン枠)として、年間2万8千トンの割り当てを認めている。98年のヒル
トン枠の割当対象期間(98年7月〜99年6月)における牛肉輸出全体に占める
ヒルトン枠内輸出の割合は、輸出量(製品重量ベース)で13%であるのに対し、
輸出価格(FOBベース)では34%を占める。同国がヒルトン枠を重要視するの
は、枠外輸出と比較して、高い利益を期待できることにある。
  
 アルゼンチン農牧水産食糧庁は、6月28日付け決議198/99にて、99年
および2000年(対象期間は7月1日から1年間)におけるヒルトン枠の国内へ
の新配分方法を採択している。食肉処理加工業者(以下、「食肉業者」という。)
などへの新配分方法の概要は次の通り。
 
 @食肉業者による過去3年間の牛肉輸出実績に基づき配分(数量配分を差し引い
た80%)、A各州の去勢牛頭数と食肉処理加工施設数に基づき配分(同6%)、
B食肉業者の従業員数に基づき配分(同8%)、C輸出食肉業者と肉牛生産者団体
やブリーダー協会(アンガス協会など)との輸出共同事業に対する配分(同6%)、
D食肉業者による前年の牛肉加熱処理製品の輸出実績に基づき配分(1千トン)、
E前年に2百トン以上の牛肉輸出実績のある食肉業者に対する配分(2百トン)、
F食肉処理加工施設を新設した食肉業者に対する配分(2百トン)である。

 旧配分方法では、過去の実績を最優先する@〜Cによるパーセント配分を行って
いた。
  
 一方、新配分方法では、@〜Cに加え、D〜Fを新たに設定、さらに、地域への
配分を考慮したAでは、6百トンの数量配分を追加している。また、@とEのベー
スとなる過去の輸出実績については、ヒルトン枠の輸出実績を対象外とした。
  
 この新配分方法に基づき、配分が行われた結果、大手食肉業者への配分が減少す
る一方、地方や中小の食肉業者への配分が増加することとなった。
  
 農牧水産食糧庁は、Cについて、従来、80%を前年の輸出実績に基づき自動的
に配分、残り20%を新規事業に配分していた。しかし、市場のニーズに対応した
より付加価値の高いアルゼンチン産牛肉の輸出を図るため、輸出食肉業者と肉牛生
産者団体などによる輸出共同事業をより厳密に選抜、評価する新基準を策定した後
に、配分を行うものとしていた。 
  
 こうした中、農牧水産食糧庁は、10月8日付け決議556/99にて、一定量
を新規事業と既存事業に配分した後、残りの60%を過去3年間の輸出実績に基づ
き配分、残る40%を次の評価項目を点数化して配分することを採択した。評価項
目は、振興活動、新規市場の開拓、品質・品種・原産地の証明手法、生産者との共
同活動、生産者に対する利益移転、インテグレーション、研究、改良などに関する
ものである。
  
 大手食肉業者の強い反発を招いたヒルトン枠の新配分方法の決定については、訴
訟問題へと進展した。アルゼンチンでは、10月24日に大統領選が実施され、野
党連合が勝利する政権交代劇があったが、今後、新政権が、ヒルトン枠の配分方法
をめぐる問題にどのように対処するか注目される。


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