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米商務省、カナダ産生体豚輸入相殺関税指令を廃止



【デンバー駐在員 本郷 秀毅 11月9日発】米商務省(DOC)は10月28
日、カナダからの生体豚の輸入に関する相殺関税指令を廃止すると発表した。この
結果、85 年以来15年間存続していた同指令が、2000    年1月1日をもっ
て廃止されることになる。

 これまでの検討の中で対象品目が見直された結果、現在、相殺関税の対象となっ
ているのは、米農務省(USDA)が認証した純粋種の種豚、と場直行豚(雄・雌)
および離乳子豚(27s以下)を除く生体豚である。現実的には、こうした見直し
の結果、96年以降、相殺関税はゼロに設定されている。

 今回の相殺関税の見直しは、ウルグアイ・ラウンド(UR)交渉の結果を踏まえ
たものである。これにより、加盟国は、既存の相殺関税について、少なくとも5年
ごとに見直しを行い、これらの措置の継続が正当化されない場合は、これを撤廃し
なければならないこととされた。このため、米国は既存の法律体系の中に、相殺関
税指令のサンセット・レビュー(既存の措置の存廃に関する定期的な検討の義務付
け)の規定を導入していた。

 サンセット・レビューに基づき、DOCは99年6月25日、相殺関税指令の廃
止は、相殺関税対象補助金の継続および復活をもたらす結果になるとの仮決定を下
していた。また、その際、仮に同指令が廃止された場合に付与されることになる相
殺関税対象補助金の額は0.01802234カナダドル/ポンド(3円/s:1カナダドル
=72円)と決定していた。米国の全国豚肉生産者協議会(NPPC)によれば、こ
れは生体1頭当たり3.04カナダドル(219円)に相当するとしている。

 しかしながら、その後、関係団体からのコメントおよび公聴会を踏まえて、DO
Cは、仮決定を覆し、同指令が廃止された場合に付与されることになる正味の補助
金の割合は最小限(デミニミス)の範囲内であり、相殺関税対象補助金の継続また
は復活をもたらさないとの決定を下した。

 DOCの発表を受けて、カナダのバンクリフ農業・農産食料相およびペティグル
ー国際貿易相は共同声明を発表し、「今回の決定は、カナダ産の豚が公正に貿易さ
れていることを追認したものである。これは、ルールに基づく貿易システムにおい
て達成されなければならないことの好例である」として歓迎の意を表明した。

 これに対し、NPPCのマクナット会長は、DOCの決定に対して「非常にがっ
かりし驚いている」と落胆の意を示すとともに、今回の決定を覆す機会を検討して
いることを表明している。


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