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回復基調のマレーシア経済も、畜産生産は減少予想



【シンガポール駐在員 外山 高士 11月18日発】マレーシア大蔵省は、同国におけ
る99年9月までの実績と、2000年の予測を行った経済レポート1999/2
000を公表した。これによると、2000年の国民総生産(GNP)は、前年比
5.3%増の2,958億リンギ(1リンギ=約30円)、1人当たりGNPは2.
9%増の12,724リンギと、増加するものと予測されている。また、インフレ
率については、99年9月までが2.1%と低水準になっていることもあり、20
00年は3.0%程度となるものと予測している。

  同国のGNPは、急速な経済発展により、増加傾向で推移していた。96年のG
NPは991億米ドルと、91年の481億米ドルに比べ2倍以上の大幅な伸びと
なっている。しかしながら、97年後半に発生した、東南アジアにおける通貨危機
の影響により、97年は979億米ドル、98年は710億米ドルと、一転して減
少傾向となっていた。また、消費者物価上昇率も、輸入品の価格上昇により、97
年の2.7%から98年には5.2%と約2倍になるなど、かなり厳しい経済状態
となっていた。

  GNPのうち農業分野について見ると、2000年の予測は、前年比3.8%程
度と全体の伸び率に比べて低い水準となっている。これは、パームやしの生産量の
伸びが99年の19.4%から4.5%に急速に鈍化すると予測されているのが、
主要因とされている。また、畜産については、昨年から発生していたウィルス性脳
炎の影響から、養豚産業が減少するなどにより、全体で減少するものと予想されて
いる。このレポートによると、98年に約20万2千トンの生産量であった豚肉は、
99年では6.4%減の18万9千トンになるものとみられている。しかし、牛肉
と羊肉の生産量は増加を見込んでおり、99年ではそれぞれ前年比8.5%と5.
2%増となっている。

  また、消費者物価上昇率は、99年9月までは2.1%と、通貨危機により急速
な物価の上昇が見られた98年の5.2%に比べて、低水準となっている。なお、
この要因としては食料品の価格の上昇が挙げられており、特に豚肉の需要が鶏肉に
移動したことに伴う鶏肉価格の上昇が、その主要因とされている。このレポートに
よると、鶏肉の需要は、これまで1日当たり約80万羽であったが、現在では50
%増の120万羽になっている。

  なお、同国では、このレポートの公表と同時に提案された来年度予算の審議中に、
マハティール首相が下院議会を急きょ解散し、総選挙を11月29日に実施するこ
ととしている。このレポートの2000年の予測については、来年度の予算措置の
裏付けに基づいていることから、その実現は、総選挙後の政府の対応によるところ
が大きいものとみられている。




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