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家畜飼料の安全対策強化に向けた動き



【ブラッセル 井田 俊二 9月30日発】  EU委員会のバイルン委員(健康・消費
者保護担当)は、9月27日の農相理事会で、今後、早急に家畜飼料の安全対策を
整備・強化していく意向を明らかにした。

 EUでは、最近、家畜飼料に起因する食品の安全性にかかわる問題が発生してい
る。99年6月には、ベルギーで鶏肉等のダイオキシン汚染問題が発生した。家畜
の飼料原料が汚染源であることが特定されているが、現在、鶏肉等の生産・販売に
ついて規制が継続しており問題は解決していない。また、99年8月には、フラン
スで家畜飼料として使用が許可されていない汚泥の混入問題が発生した。現行のE
U規則における解釈の相違が原因とされている。その後、ドイツ、オランダおよび
ベルギーで同様の事例が確認されており、現在、加盟国で運用実態を調査している。

 こうした問題を背景として、EU委員会では現行の家畜飼料に関する規則を見直
すこととし、2000年10月(99年末までにドラフトを作成)を目途に、EU
全域を対象とした家畜配合飼料の安全性に関する包括的な管理システムを提案する
こととしている。家畜飼料に含まれるダイオキシンのモニタリング調査等が規定さ
れる見込みである。

 また、当面、家畜飼料の安全性を確保するため次の対策を講じることとしている。

 ダイオキシン汚染問題に対しては、家畜の配合飼料原料中に含まれるダイオキシ
ン許容含有量上限値の設定を検討している。

 しかしながら、上限値の設定に当たり、相対的にダイオキシン含有量が高いとさ
れるフィッシュ・ミールについて加盟国の合意を得られず結論に至っていない。ま
た、飼料原料の由来の追跡・特定を可能とするための取り組みや、配合飼料企業に
対する公的機関による認定制度の導入を検討することとしている。

 汚泥混入問題に対しては、家畜配合飼料への添加禁止物質を見直すとともに、添
加物質(特に油脂および家畜由来の原料)の定義を明確化し統一的な運用が図れる
よう検討することとしている。

 さらに、遺伝子組み換え(GM)作物を使用した家畜飼料に対して、99年末を
目途にラベリングの導入を提案することとしている。

 EUでは、特に食品の安全性に関する関心が高くなっている。ホルモン牛肉問題
は、米国などとの間で貿易問題となり未解決のままである。また、GM食品につい
ては、EUで新規承認の凍結および表示の義務化を決定しており、今後国際的な場
でその安全性をめぐる議論が予想される。

 家畜飼料に起因した食品の安全性に関する問題としては、96年の牛海綿状脳症
(BSE)があり多大な影響を及ぼした。食品の安全性を確保する上において、家
畜飼料の安全性対策は必要不可欠な条件であると言える。今後、EUがどのような
家畜飼料の安全対策を講じていくか注目する必要がある。



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