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安定した成長を見込むタイ飼料業界



【シンガポール 伊藤 憲一 9月30日発】タイ飼料生産者協会は、97年7月以降
の通貨下落による経済の停滞で、同国の飼料の需要が約30%下落したものの、最
近では畜産物価格の堅調な推移により、経済危機以前の水準まで回復したとしてい
る。

 また、協会は、99年の飼料製造量をブロイラー、豚および採卵鶏用が666万
トン、肉牛、乳牛およびエビ用などが200万トン、合計で866万トンになると
期待している。なお、これらの製造に必要な飼料原料は、トウモロコシが440万
トン、大豆ミールが162万トン、魚粉が46万トン、砕米が44万トンと見込ま
れている。

 一方、協会では、飼料の需要が主要な家畜であるブロイラー、豚および採卵鶏に
大きく依存することとなるため、当該家畜の飼料需要について、次のように分析し
ている。

 ブロイラーは、中国およびブラジルと競合する中、ヨーロッパおよび日本などへ
の輸出が、伸び率は低いものの拡大が見込める。特に、タイの鶏肉調製品は衛生水
準および加工処理技術が高く、安定した伸びが期待できるとしている。また、国内
生産の拡大余力は、競合国と比較しても有利であるとともに、1.9〜2sとなっ
ている現在の成鳥体重を、将来的に2sを超える体重に増体する可能性があるとし、
ブロイラーの飼料需要は拡大が最も期待できるとしている。

 豚は、生産量が国内需要を既に満たし、拡大には限界があり、短期的には大きな
伸び率は見込めない。しかし、東南アジアなどへの輸出に活路を見出すことができ
れば、生産量の急速な拡大が見込めるとし、当面、豚の飼料需要は現行水準とみて
いる。

  採卵鶏についても、卵の生産量が需要量を既に満たしており、その伸び率は人口
増加および新製品などの加工品需要の開拓に依存している。また、卵の輸出は、季
節的な供給過剰による価格の下落を解消するためで、他国と比較して高い生産コス
トがネックとなり期待できないとし、豚と同様、採卵鶏の飼料需要は現行水準とみ
ている。

 以上の分析を踏まえ、協会は今後の飼料の需要を伸び率は低いものの、年率で
1〜2%の安定した成長が期待できるとみている。

 しかし、協会では、飼料の原料である穀物などの供給面などは、@トウモロコシ
が天候、価格などの影響を受けて、年によって生産量が大きく増減し安定していな
いこと、A大豆ミールは、160万トンの国内需要に対し生産量がわずか10万ト
ンで、国内生産が今後とも大幅に不足する見込みであること、B輸入大豆から生産
した大豆ミールは、国産品と比較してたんぱく質含量が1〜2%低くなるため、飼料 
業界では国産大豆の使用を好む傾向にあること、C大豆および大豆ミールを輸入する
者は、国内生産者を保護するために国産大豆および大豆ミールを、政府が定める保証
価格での買い取り義務を負っていること、また、対外的には、D衛生基準の確保、動
物愛護に関する規則などを強く求める輸入国の要望を満たす飼料を生産しなければな
らないことなどの課題を抱えているとしている。

 このため、協会では、不足する飼料原料などの計画的な輸入を可能とするため、早
い時期に飼料政策などの情報を公表するとともに、飼料用穀物の安定した生産を行う
必要があるとしている。


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