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豪州フィードロット、トップ20



【シドニー駐在員 藤島 博康 10月21日発】このほど、豪州食肉家畜生産者
事業団(MLA)は、フィードロットの上位20社を公表した。豪州のフィードロ
ット産業は、わが国の牛肉自由化などを背景に80年代中頃から急速に発展した。
当初は日本向け輸出需要がほとんどだったが、近年、国内需要が順調に拡大するに
伴い、産業としての認知度も大きく向上した。

 ランク付けは、98年における年間出荷頭数と政府より許可されたフィードロッ
ト収容頭数から算出されている。第1位は米国資本のオーストラリア・ミート・ホ
ールディングス(AMH)社で、98年の出荷頭数は約12万8千頭に上った。単
一施設では日系のロックデールビーフ社が最大規模。許可頭数で見ると、トップ2
0合計は、豪州フィードロット全体のほぼ52%を占める。

 過去に同種の調査が実施されたのは、93年だったが、今回のトップ20には新
たに8社がランク入りした。この中で、目立った動きを見せたのは農業総合会社で
あるエルダーズ社で、前回調査で4位のチャールトン・フィードロット、同9位キ
ララ社、同17位の豪州農業社の施設を買収し、一気に2位にランク入りした。

 一方、牛肉自由化以降の日本向けの輸出競争激化を反映してか、いくつかの日系
資本がランクから消えた。93年調査との比較で日本向け輸出を中心にするフィー
ドロットを見ると、豊富な資金を背景に規模の経済を生かし価格競争力を持つ者、
もしくは規模にかかわらず日本国内で牛1頭分をさばける販売力のある日系資本に
とう汰される傾向にあるようだ。

 日本市場への依存度は低下する傾向にあり、93年のトップ20社全体での出荷
重量に占める国内向けは19%だったが、98年には31%までに増加したとして
いる。牧草による放牧肥育が太宗を占める豪州では、日本人が魚類に抱く「天然」
対「養殖」のイメージ同様に、当初、穀物肥育牛肉にはネガティブなイメージが強
かったものの、近年は干ばつという不安定要因に左右されない安定供給、斉一性の
高い品質などの観点から、国内流通における評価はずいぶんと高まったようだ。

 94/95年度には約7千のフィードロット経営が230万トンの飼料穀物を消
費し、飼料穀物の重要な需要セクターとして成長するなど、他の産業への経済的な
波及効果もより大きなものになった。
 

98

ランク

93

ランク

会社名

施設数

許可頭数

(頭)

出荷頭数

(頭/年)

出荷重量

(トン/年)

1

1

Australian Meat Holdings Pty Ltd

4

96,500

127,974

43,584

2

(4,9,17)

Elders Limited

3

57,500

103,928

29,388

3

3

Rockdale Beef Pty Ltd

1

53,333

80,000

31,200

4

2

――――――――――――― データ未公開 ―――――――――――――――

5

15

Cargill Foods (Australia) Pty Ltd

1

14,000

40,635

11,845

6

11

Rangers Valley Cattle Station Pty Ltd

1

20,000

na

na

7

7

ICM Farm Products Australia Pty Ltd

1

20,000

38,500

8,419

8

14

Myola Feedlot Pty Ltd

1

16,000

31,250

9,750

9

-

CR & S Pty Ltd

2

15,000

26,000

8,944

10

8

Sandalwood Feedlot

1

18,000

17,838

6,895

資料:MLA「FEEDBACK」99年8月号

注:データには他者所有の委託肥育分を含まない。出荷重量は推定枝肉重量。





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