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【シンガポール駐在員 外山 高士 10月21日発】タイ政府は、99年後期分 (9〜12月)脱脂粉乳の輸入枠25,701トンの配分を行ったと発表した。 タイの牛乳・乳製品は、ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意に基づき、9 5年から輸入割当枠を設けて輸入が行われている。対象となっている品目は、脱脂 粉乳、生乳および飲用乳である。これらの品目は、それぞれ95年の4万5千トン、 2,260トン、26トンから、2004年の5万5千トン、2,372.7トン、 27.26トンまで輸入割当枠を拡大することとなっている。また、この枠内での 輸入には20%の関税を課し、枠外の輸入に対する関税については、それぞれ95 年の237.6%、45.5%、92.1%から、2004年の216.0%、4 1.0%、84.0%までの引き下げを行うこととなっており、99年はそれぞれ 228.0%、43.5%、88.5%の関税が課されている。 このうち脱脂粉乳については、その需要の高まりから、UR合意を上回る輸入割 当枠を設定しており、95年には5万5千トン、96年から98年までは8万8千 トンとなっていた。99年については、98年の通貨下落に伴う輸入価格の上昇に より脱脂粉乳の輸入数量が減少したことから、前年に比べて約2万トン少ない、6 万8千5百トンとなっている。また、関税率については、枠内については5%と、 大幅に引き下げた水準となっているが、枠外についてはUR合意の水準のままであ る。なお、輸入割当枠は、飲用乳メーカー、コンデンスミルクメーカー、アイスク リームメーカー、および輸入商社に、それぞれ過去2年間の取扱実績に基づいて、 前期(1〜8月)分と後期(9〜12月)分の2回に分けて配分されており、99 年前期分は29,250トンとなっていた。 このような状況の中、乳製品メーカーでは、国内生産される生乳のみでは需要を 賄いきれないことと、農家からの買入価格が、1リットル当たり12.5バーツ (1バーツ=約2.8円)と、政府により決められていることから、価格競争力を 維持するためにも、より安価な輸入脱脂粉乳が必要不可欠なものとなっている。 しかし、生産者団体では、9月以降、乳製品メーカーが、国産生乳より安い輸入 脱脂粉乳の輸入割当枠の配分を期待して、生乳の買い控えを行っていたため、生乳 の需給が緩和しているとしており、政府に対して脱脂粉乳輸入の一時的な中止と、 乳製品における脱脂粉乳の使用割合を表示させるよう求めていた。本来9月には公 表されるはずであった後期分の輸入割当数量の公表が、1ヵ月以上も遅れた背景に は、これら生産者の反対があったものとみられている。 政府ではこの対応として、学校が休みの期間停止している学乳用生乳の購入を、 1日当たり300トン行うこととするなど、需給の引き締め対策に追われている。
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