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【シンガポール 伊藤 憲一 9月2日発】タイブロイラー加工輸出業者協会が公表し た99年上半期の鶏肉輸出(速報値)は、 9,131トンとわずかな伸びにとど まったが、金額は輸出価格の下落の影響により、同7.0%減の110億バーツ (1バーツ=約3円)とかなりの程度落ち込んでいる。 内訳では、冷凍鶏肉が、アジアおよびEU向けでそれぞれ3.3%および3.2 % 減少したため、合計で同0.6%増の10万1,600トンとなった。特に、 豚に発生したニパ・ウイルスの影響で、鶏肉の消費が増加したマレーシアでは同6 1.5%増の2,615トン、経済が回復基調にある韓国では同156.7%増の 2,112トンとそれぞれ大幅な増加となった。また、EU向けのうちイギリスも、 ファストフードの需要増加などにより同81.1%増の5,401トンの大幅な増 加となった。しかし、中国などから輸入が増加している日本向けは、同0.4%減 の6万1,461トンとほぼ前年同期並みとなった。なお、同輸出金額では、中国、 ブラジルなどの日本向け輸出価格が低下したことなどにより、同9.7%減の71 億バーツに減少した。 また、鶏肉調製品の数量は、EU向けが同0.4%増とほぼ前年同期並みであっ たものの、アジア向けが同6.8%増となり、合計で同4.2%増の2万7,53 1トンとなった。前年に比べ伸び率が鈍化している中で、アジア向けは、シンガポ ールがファストフード需要の大幅な増加により前年同期の約38倍の1,821ト ンとなり、98年の輸入実績1,156トンを既に上回っている。なお、同調製品 の日本向けは、4,912トンとなった。また、同輸出金額においても、輸出価格 の低下傾向がみられ同1.4%減の39億バーツとなった。 これにより、99年上半期の日本向け輸出シェアは、日本向け輸出量の減少など により、冷凍鶏肉が98年の61.6%から60.5%に、鶏肉調製品が同59. 6%から54.2%へそれぞれ低下している。 一方、同協会は、99年の輸出目標数量を冷凍鶏肉が20万トン、鶏肉調製品が 7万トン、合計で27万トンとしている中、99年上半期の輸出ペースは、前年同 期に総輸出量の約45%が消化されていることを勘案すると、冷凍鶏肉がやや計画 を上回るペース、鶏肉調製品がやや計画を下回るペースとしている。 99年の輸出目標の達成状況について業界では、@輸出価格がブラジル、中国の 引き下げで低価格に向かっていること、A米国およびブラジルが依然として増産傾 向にあること、B最近のバーツは安定しているものの、中国通貨元の為替動向が切 り下げの憶測を呼んでいることなどにより、昨年のような大きな伸びが日本および EU向けに期待できないことから、東南アジアおよび韓国などへの輸出動向が大き なカギになるものとみている。
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