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【デンバー 樋口 英俊 9月2日発】米農務省(USDA)農業マーケティング 局(AMS)は8月30日、同月2日から6日に実施された連邦ミルク・マーケテ ィング・オーダー(FMMO)制度改革案の生乳生産者による全体投票の結果を公 表した。 全体投票は、11の地域で実施され、すべての地域で90%を超える賛成票を集 め、承認の基準である3分の2を大幅に上回る結果となった。 96年農業法に基づくFMMO制度の改革案については、今年の3月末にUSD Aが、@ミルク・マーケティング・オーダー(地域)の統合(現行の31から11 へ)、A飲用規格(グレードA)生乳の用途別区分の見直し(現行の3区分から4 区分へ)、BグレードA規格生乳の最低取引価格算定の基礎として用いられてきた 基礎公式価格(BFP)について、乳成分の価値に基づき算定される新たな指標価 格に変更、C飲用牛乳(クラスT)に係る最低取引価格の算定方法の変更などを柱 とする最終規則を発表していたが、生乳生産者による全体投票での承認が、10月 1日から施行するための条件となっていた。 今回の投票結果について、生乳生産者の団体である全国生乳生産者連盟(NMP F)は、全体投票で大多数の賛成票を集めたと言っても、否決した場合、FMMO 制度自体が存在しなくなってしまうために賛成票を投じたにすぎず、生乳生産者が USDAの改革案を支持している訳ではないとコメントしている。また、米国最大 の酪農協であるデイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカも、同様の見方を示し、 この改革案は、多くの生乳生産者を経済的苦境に追いやるものと述べた。NMPF は、最終規則の実施により、生乳生産者の所得は年間2億ドル(220億円:1ド ル=110円)減少すると推計している。 NMPFは、今後は議会などとの協力により、最終規則を改善していかなければ ならないと述べているが、生乳生産者の不満を背景に、同規則の修正法案が、既に 何本も議会に提出されている。 中でも、NMPFの支持などを背景に、6月30日に下院農業委員会を通過し、 下院議員の過半数の支持を得ていることから最も有力視されている法案(HR14 02)の柱は、クラスTの算定につき、現行のクラスT差額と変わらないオプショ ン1A(現行のクラスT差額に最近の経済状況を勘案して微調整を加えたもの)を 採用するというもので、このほかに、クラスV(チーズ向け)価格の調整として、 チーズ製造経費 (36円/kg)へ引き下げる案や現行の価格支持制度を1年間 延長する案などが含まれている。 9月6日のレーバー・デー(労働者の日)明けに再開される議会においては、U SDA案を支持する中西部選出の議員の出方も注目され、今後FMMO制度をめぐ る動きがますます活発化するものとみられる。
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