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【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 9月22日発】米国は、世界貿易機関 (WTO)協定(94年4月)に基づき、95年から食肉輸入法の輸入制限措置を 関税化し、国ごとに牛肉関税割当枠を設定した。アルゼンチンに対しては、米国は 94年3月の2国間の覚書で口蹄疫などの衛生条件の改善を前提に、2万トンの牛 肉追加割当枠(暦年の骨抜き生鮮冷蔵または冷凍牛肉重量)を約束した。実際に米 国への輸出が解禁されたのは、97年8月25日である。 この背景は、1930年以来、関税法第306条により口蹄疫汚染国から生鮮肉 などの輸入を禁止してきた米国が、ガット・ウルグアイラウンド農業交渉で議論さ れ農業合意に盛り込まれた、地域重視とミニマムリスクの考えに基づき国内法を改 正したことである。この考えは、輸出国の病気の無発生地域および低発生地域、そ の他地域的な衛生状況に対応した調整を(輸入国は)するというものである。 米国への輸出量(製品ベース)は、97年は約5千1百トン、98年は国内牛肉 価格の高騰で輸出競争力を失い約7千トンであった。この結果、アルゼンチンの生 産余力に疑問が生じたが、98年の特殊事情を考慮すべきだろう。99年は1月か ら7月までに1万3千7百トンが輸出され、輸出価格(FOBベース)は約2千7 百万ドル(29億7千万円:1ドル=110円)、輸出単価は1,953ドル(約 21万5千円)/トンとなっており、99年は割当枠をすべて満たすと推測されて いる。 99年の輸出製品の内訳は、前四分体が6,665トン(輸出価格1千万ドル(1 1億円))、冷蔵カット肉が1,380トン(同480万ドル(5億3千万円))、 冷凍カット肉が4,700トン(同980万ドル(10億8千万円))、くず肉が 960トン(同130万ドル(1億4千万円))である。 米国向けに飼養される牛は、品種を問わず牧草肥育された去勢牛で、EU向けの 牛肉輸出枠であるヒルトン枠用に飼養された牛の条件とおおむね同じである。 2万トンの米国枠は、97〜99年の3年間(98、99年は暦年ベース)に適 用されており、配分方法は国で定められた規則がある。規則は複雑で、毎年細かく 改正されるが、大雑把に言えば以下の通りである。 @ 枠の80%は、食肉処理加工業者の過去の輸出実績(輸出価格を考慮)に基 づき、業者ごとに配分される。 A 枠の6%は、州ごとの去勢牛の頭数と輸出が認められた食肉処理加工施設の 数により各州に配分される、いわば地域重視の枠である。 B 枠の8%は、各食肉処理加工業者の従業員数に基づき、業者ごとに配分され る。 C 残りの6%は、生産者、食肉処理加工業者、輸出業者が参加する米国への牛 肉輸出の共同事業ごとに配分される。
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