ALIC/WEEKLY
【シドニー駐在員 野村 俊夫 4月20日発】豪州クインズランド州で、4月8 〜9日、5つの主要な肉牛生産国(豪州、ニュージーランド(NZ)、米国、カナ ダ、メキシコ)の生産者団体の代表団が参集し、世界貿易機関(WTO)貿易交渉 に向けた生産者側からの要求などを討議する定期会議を開催した。 この会議は、メキシコを除く4ヵ国の生産者団体が定期的な交流の場を設けるべ く、80年代初めから約1年半ごとに各国の持ち回りで開催されている。メキシコ は、93年に5番目のメンバーとして加盟した。 今回正式に参加した団体は、豪州肉牛生産者協議会(CCA)、NZミートボー ド(NZMB)、米国肉牛・牛肉協会(NCBA)、カナダ肉牛生産者協会(CC A)、メキシコ肉牛協会(CNG)の5団体であるが、アルゼンチンとウルグアイ の各駐豪大使が両国の業界代理としてオブザーバー参加したほか、豪州農業者連盟 (NFF)、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)などが積極的に開催に協力した。 これらの国々は、いずれも主要な肉牛・牛肉の生産輸出国であるため、この会議 では、もっぱら世界の肉牛・牛肉貿易を促進する立場から意見交換がなされた。 分野別には、@市場アクセス(中国その他のWTO加盟支持、ミニマムアクセス の拡大、関税割当の公正実施と最終的な撤廃)、A輸出補助金(アジア市場への適 用除外の維持、最終的な撤廃)、B国内保護(保護水準の削減、UR合意のブルー ボックスの撤廃)、C技術的非関税障壁(非関税障壁の撤廃、科学的根拠に基づく ガイドラインの導入)、D動植物検疫問題(現在の協定枠組みの維持、科学的根拠 の保証)、Eアンチダンピング(明確なルールの設定)、Fその他(遺伝子組み換 え技術や食品安全性に関する技術的国際基準の設定、WTO提訴の手続きの簡素化) など、肉牛・牛肉貿易の促進に関連する多くの課題について討議がなされた。 今回参加した各団体の代表団は、4月4日にブリスベーンを出発し、クインズラ ンド州内の肉牛牧場や食肉工場を視察した後、8日にヤプーンに到着して本会議に 臨んだ。今回の会議は、豪州で3年に1度の肉牛・牛肉業界のメインイベント(ビ ーフ2000)に絡めて開催されたため、会議に参加した各国の代表団は、会議終 了後、ビーフ2000の開催地ロックハンプトンに移動し、同イベントを併せて視 察した。 次回の会議は来年9月ごろに米国で開催される予定であるが、今回の会議を主催 した豪州は、分野別のワーキンググループ会合を設営し、WTO交渉に向けた各国 団体の共同提案をとりまとめることになった。5ヵ国は、他の生産国にも会議への 参加を広く呼びかけており、次回は、アルゼンチン、ウルグアイ両国団体の正式参 加が見込まれている。
元のページに戻る