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【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 4月19日発】2月末、グリックマン米農務 長官が、豚肉のチェックオフ制度の存廃を問うため、全体投票を行うとの意向を表 明した際、本制度に基づく事業の実施機関で、その存続を支持する全国豚肉生産者 協議会(NPPC)は、「法律がねじ曲げられた」として、その決定経過を批判し た。というのも、米農務省(USDA)が、昨年5月に集められた約2万件の署名 について、全体投票の実施に必要な「生産者や輸入業者の15%以上」という法律 上の要件を厳密に満たしているかどうかを判断しないまま、今回の決定に踏み切っ たためである。 本制度は、法律に基づき、生産者や輸入業者などから、生体豚または豚肉の販売 額の0.45%を強制的に徴収し、これを原資に、市場拡大のための販売促進や調 査研究活動を行うものであり、86年に創設された。 しかし、中小規模の家族経営を中心として、本制度は大規模な企業経営やパッカ ーに対して有利に働いているとの不満が根強く、制度の廃止を求めて提出された署 名の取り扱いが注目されていた。 USDAは、生産者には「投票権」という民主主義の基本原則があるにもかかわ らず、88年の第1回投票以来1度も行われていないことを今回の投票実施の決定 理由に挙げているが、NPPCは、「真の生産者とは言えない、政治的な利害関係 者に味方するもの」であり、投票に当たっては、「公平で透明性のある手続きを確 立すべきである」との見解を表明した。 こうした主張にも配慮してか、4月18日、USDAは、有権者の資格等を厳密 に定めた全体投票の実施手続き案を公表した。 具体的には、投票の有資格者は、豚肉のチェックオフを支払っている個人または 企業であり、@自らの名義で、米国内において豚を生産・販売した者、A自らの名 義で、米国内に豚または豚肉産品を輸入する者、Bこうした生産・販売または輸入 を行う企業の代表として1票の投票権が与えられた者で、いずれも、投票の1年以 内にこれら産品の販売実績がある者に限られ、チェックオフを払わない契約生産者 や投票の1年前に離農した者などは含まれないとされている。 また、有資格者の正当性を確認するため、投票を行った者のリストは公示され、 仮に非有資格者と思われるものが投票を行っていた場合には、第三者が申し立てを 行うことができ、USDAはこれに基づく調査・認定を行うことなどが規定されて いる。 これに対して、NPPCは、生産者以外の者が投票に参加し、本制度の将来に影 響を与える可能性は否定できない旨を表明するとともに、本制度の存続の必要性を 訴えていくとしている。 現段階で、投票結果を予測することは早計ではあるが、@飼養頭数500頭未満 の小規模経営が約8割を占め、逆に5千頭以上の大規模層は1%にすぎないため、 こうした飼養構造が投票結果に反映するのではないかとの見方や、A現在のような 年明け以降の好調な豚価が、投票日まで維持されれば、制度の存続にとってプラス に作用するとの見方もある。 今回の投票手続き案については、30日間のコメント期間が設けられている。実 際の投票は、夏ごろに実施されるものとみられており、多数決で制度の存亡が決ま る。
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