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USDA、生産者とパッカーの公正取引の確保に向け前進


【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 8月3日発】グリックマン米農務長官は7月
28日、食肉および家きん肉産業において公正な競争が行われることを確保するた
めの新たな規則を制定するとの意向を明らかにした。

 これは、パッカーの寡占化や、生産者とパッカーとの間の生産・販売契約に基づ
く取引などが急速に進展している中、適正な価格形成や公正な取引条件の確保を求
める生産者サイドの声に応えたものであるとみられている。新たな規則は、家畜の
取引方法などを規定した「パッカー・ストックヤード法」の関連規則として制定さ
れると考えられる。

 同長官は、今回の発表の中で、「我々の目標は、小規模な生産者の競争力が向上
するよう手助けすること」であり、本規則の制定により、「取引の透明性を高め、
(生産者とパッカーとを)同じ土俵に立たせることができる」と述べている。

 規則案は、この秋に公表予定であり、パブリック・コメントを募った後、最終規
則が制定される運びとなる。現時点で明らかにされているポイントは、
@ 生産契約について、基本的な契約内容の開示を義務付ける。
A 契約条件の開示を制限する条項や、生産者が法的または財政的なアドバイスを
 受けることを妨げるような条項(などを契約に盛り込むこと)を禁止する。
B パッカーにおける記録の保持義務を明確化するとともに、家畜の購買情報が遺
 漏なく正確に記録されるよう、(統一的な)記録様式などを定める。
C 他の生産者と交わした取引条件と同様のものを、当該生産者に対して強いるこ
 とを禁止する。
D 質的に同等な肉用牛について、異なる取引価格が設定される場合、当該パッカ
 ーに、その根拠を明らかにするよう求める。
というものである。

 また、同長官は、資源保護や家族農業経営の重要性などを訴える市民団体組織
(WORC:Western Organization of Resource Councils)から出されていた請願を
受けて、パッカーによる肉用牛の生産部門への関与のあり方などについて議論する
公開討論会を、この9月に開催し、反競争的な取引慣行に対する生産者の懸念を聴
取したいとも述べた。

 全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、年内の実施が予定されているパッカーに
課される取引情報の報告義務制度と併せて、生産者がより多くの情報を入手するこ
とで、最良の販売方法を選択することができるとして、今回の同長官の発表を歓迎
しながらも、「生産者の競争力確保につながるような商慣行や、新たな販売方法に
対しては、いかなる制限も加えられるべきではない」との慎重な立場も付言してい
る。

 このような一連の措置は、パッカーによる市場への不当な圧力の存在を挙証でき
ないでいる米国政府が、現時点においてとり得る、ギリギリの政策手法と言うべき
なのかもしれない。


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