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アルゼンチンで口蹄疫問題が発生



【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 8月16日発】農畜産品衛生事業団(S
ENASA)は8月10日、国際獣疫事務局(OIE)に対し、アルゼンチンにおけ
る口蹄疫に関する血清学的診断結果を報告した。その概略は以下の通りである。

 8月2日、パラグアイとの国境に近いアルゼンチン北部フォルモサ州クロリンダ
地区の共同農場において、不法輸入された牛10頭が確認された。これらの牛は、衛
生証明書がないことから、殺処分の対象となったが、血清検査の結果、10頭のうち
4頭に口蹄疫の抗体の陽性反応が確認された。なお、臨床症状は認められていない。
不法輸入されたのは7月22日と判明し、口蹄疫の防疫対策として、これらの牛と接
触したおそれのある同農場の牛全頭が殺処分の対象となった。

 さらに、クロリンダ地区の同農場周辺地域から他の州へ出荷された13牛群につい
て追跡調査が行われ、コリエンテス州メルセデス地区の農場へ出荷された1牛群の
うち2頭に口蹄疫の抗体の陽性反応が確認された。

 また、メルセデス地区の農場から、同農場のオーナーが別に所有するエントレリ
オス州コンセプションデルウルグアイ地区にある農場へ出荷された62頭(うち2頭
は、クロリンダ地区由来のもの。)のうち、1頭に口蹄疫の抗体の陽性反応が確認
された。

 OIE国際家畜衛生規約に基づき、フォルモサ州、コリエンテス州とエントレリ
オス州の一部が、サーベイランス地域に指定され、家畜取引などについて厳重な管
理が実施されている。また、採取された血清は、SENASAの中央研究所におい
て検査が行われた。

 なお、OIEのコメントとして、同報告書は、口蹄疫ウィルスの抗体が検出され
たことを示すもので、同国に口蹄疫の感染が確認されたか否かを示すものではない
としている。

 SENASAによるプレス発表は、SENASAの対応として、民間獣医師から
パラグアイで口蹄疫ウィルスの存在が疑われるとの報告を受け、約1ヵ月半にわた
り国境付近に警戒態勢を敷いていたとし、今回の口蹄疫問題は、パラグアイからの
牛の不法輸入に端を発していると報じた。

 アルゼンチン農牧水産食糧庁は、8月10日付けの公報で、現在、実施されている
口蹄疫の防疫対策が終了するまで、米国およびカナダ向けの牛肉(冷蔵・冷凍)輸
出を一時的に停止するとした。

 また、SENASAは、8月1日付けの決議(1133/2000)により、全国を対象
として直ちにと畜に向けられる家畜などを除き、口蹄疫に感受性のある家畜の移動
を21日間禁止した。

 SENASAによると、8月14日までに、前述の3農場において、口蹄疫の防疫
対策として約3,100頭の牛が殺処分された。また、追跡調査が行われていた13牛群
のうち残り12牛群における血清検査の結果は、陰性反応となった。

 なお、アルゼンチンは、今年の5月のOIE総会において、口蹄疫ワクチン不接
種清浄国、パラグアイは、97年のOIE総会において、口蹄疫ワクチン接種清浄国
に認定されている。


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