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イギリス、14年ぶりに豚コレラが発生
【ブラッセル駐在員 山田 理 8月17日発】イギリス農漁業食料省は8月8日、 サフォーク州の1農場で豚コレラの発生を確認するとともに、感染の疑いのあるノ ーフォーク州、エセックス州各1農場を含む3農場を中心に、半径3qの豚の移動 禁止地域(防疫地域)および半径10qの監視地域を設定したことを公表した。同国 での豚コレラの発生は、86年以来14年ぶりのことである。翌日には感染を疑われて いた2農場の発生も確認された。 その後、12日までに計5農場の発生が確認されている。その内訳は、2例目とし て発生が確認されたノーフォーク州の種豚農場および同農場から種豚を導入してい た4農場(繁殖経営)であり、この種豚農場が疾病の発生源と考えられている。こ のため、種豚農場から種豚を導入した他の3農場および関連農場から子豚を導入し た8つの肥育農場は、厳しい監視下に置かれた。発生の詳しい原因については、ま だ明らかになっておらず、農漁業食料省による調査が続けられている。 発生農場などで飼養されていた豚1万頭以上が、EU規則(理事会指令80/217/ EEC)に基づき、と畜・処分された。生産者に対しては、豚の処分に関して、感染 豚で市場価格の50%相当、非感染豚で100%相当が補償される。 EUでは、97年から98年にかけてオランダやスペインなどで豚コレラが発生し、 処分された豚の頭数が1千万頭を超えるほどの記録的な大流行を経験した。この際、 感染ルートの迅速な究明および豚の移動制限・処分などにより感染をくい止めるこ との重要性が改めて認識された。 これら豚コレラの大流行を経験した諸国は、今回のイギリスの豚コレラ発生に対 しても迅速に対応した。オランダは10日、イギリスからの生体豚の輸入を全面的に 禁止し、既に輸入された生体豚についてはオランダ国内での移動を禁止した上で、 全頭を対象に検査を実施している。また、ベルギーはイギリスからの生体豚輸入に 関して検疫を強化する動きを見せている。 EUレベルでも、常設獣医委員会(SVC)が14日、緊急会合を開き、EU域内 においてイギリスのイングランド地方からの生体豚および精液の輸出を8月31日ま で禁止することを決定した。この措置は暫定的なもので、8月22日に予定されてい るSVCで再度検討される。 イギリスは昨年、20万7千トンの豚肉(製品ベース)および15万5千頭の生体豚 を輸出したが、その大半はEU域内向けであった。今後、さらに感染が拡大するよ うなことがあれば、輸出禁止措置の延長なども考えられる。この場合、回復傾向に ある国内の肥育豚価格にも少なからず影響を与えるものとみられており、今後の豚 コレラ感染の動向が注目されている。
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