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養豚業界、小麦輸出制度に対し意見書を提出
【シドニー駐在員 幸田 太 8月17日発】豪州豚肉生産者協議会(PCA)は 8月10日、豪州小麦公社(AWB)の一元輸出機能の存続を検討する政府の規制緩 和委員会に対し、AWBが決定する輸出価格が、国内の小麦価格上昇に大きな影響 を与えているとして、改善を求める意見書を提出した。 PCAが提出した意見書によると、養豚経営コストに占める飼料費の割合は約53 %と突出しており、小麦価格の上昇は、小麦を飼料に用いる豪州の養豚経営に大き な影響を与えているとし、AWBが豪州小麦生産量の約85%(1,700万トン)を一 元的に輸出しているため、AWBが決定する輸出価格が国内への供給価格を大きく 左右し、現状では小麦価格を高値に押し上げているとしている。この結果、養豚経 営を圧迫し、養豚産業の国際競争力の強化を阻害しているとしてAWBの輸出機能 の改善を要求している。 PCAの報告書では、養豚産業のみならず、肉牛肥育など畜産全般についても、 小麦価格の上昇がコスト増の要因につながると指摘しており、フィードロット産業 などもPCAの方針に賛同していると報じられている。 今回、報告書を提出した背景には、生産コストの削減を阻害する要因の排除を行 い、養豚業界の再構築により国際競争力を強化し、輸出市場への参入を推進するこ とが目的であったものとされている。 豪州の養豚産業は、96年にカナダ産輸入豚肉の増加により国内市場が暴落し、存 亡の危機を迎えたが、政府による補助政策の実施や、その後の台湾、韓国で発生し た口蹄疫、また、マレーシアでのニパウイルス発生などが追い風となり、シンガポ ールや日本向けを中心に97年以降、急激に輸出を伸ばしている。 一方、業界の取り組みとは裏腹に、国内の養豚生産基盤は、99年のデータによる と、国内の豚飼養農家戸数は約3,000戸、母豚飼養頭数は約35万頭、年間と畜頭数 は約517万頭、豚肉生産量は約37万トン(枝肉ベース)、輸出量は3万2千トンと、 日本の約3分の1程度の規模であり、肉牛産業と比較するその規模は非常に小さい。 また、日本市場への輸出については、品種の不統一による肉質のばらつき、枝肉 重量の不均一、未去勢豚肉特有のにおいなどが、問題点として挙げられる。 PCAにより豚肉輸出振興機関として設立された豪州豚肉輸出連合(CAPE) によると、これらの問題については、国内で生産・流通の再構築を進めているとこ ろであり、輸出に対しては雌豚出荷での対応や、品種の改良、また、飼養方法や去 勢技術の浸透に力を入れていることから、改善に向かっているとしている。 豪州の養豚産業は、豊富な飼料と広大な土地を持ち、また、輸出型産業として確 立した肉牛産業をケーススタディの材料として、輸出を念頭においた国内の生産、 流通の構築が可能であることから、輸出に対する潜在能力は高いとの見方もあり、 今後、どのような展開を見せるか注目される。
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