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EU委、食品衛生規則の改定を提案
【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 8月24日発】EU委員会は、7月17日、既 存の一般食品および動物(魚介類を含む)関連食品衛生規則を改定・強化する提案 を発表した。 現在、食品の種類ごとに定められている17指令(Directive)を見直し、4つの 規則(Regulation)として整理統合する。また、これまでは特に対象とされていな かった農家の家畜飼養管理段階でも、家畜の健康に関する疾病・治療記録などを義 務付けるなど、すべての食品製造者の責任を強化し、農場から消費者の食卓までの 一貫した衛生管理を図ることを提案している。 同提案は今後、理事会および欧州議会で共同審議され、実行に移されるのは2002 年以降の見込みである。 提案の概要は以下の通り。 (基本方針) 第1に、農場から食卓までの一貫した衛生規則を導入する。現在は、すべての食 品を網羅する体系的な衛生規則が存在せず、特に農場の1次生産段階で切れ目が生 じている。 第2に、自己検査および最新の危害管理を通じ、食品製造者の食品安全に対する 基本的責任を設定する。危害分析重要管理点(HACCP)システムの実施が1次 食品業者(農家など)以外に義務付けられる。大部分の食品事業では、原材料の品 質検査、細菌汚染防止、抗菌のための熱処理が食品の安全管理には非常に重要であ る。食品企業は、監視の目的で、HACCPに基づき行われた安全検査の記録を義 務付けられる。 第3に、すべての食品および食品材料の追跡可能性を実現するため、すべての食 品事業の登録を義務付ける。その登録番号を食品に付けなければならない。また、 食品および食品材料を特定できるように記録を義務付ける。製造者は、食品が消費 者の健康への大きな危険を及ぼす場合に、市場から回収する措置を取らなければな らない。 なお、食品取り扱い時の基本的衛生規定はこれまで通り維持される。 (柔軟性) 伝統的食品製造や離島、孤立した山間地などでは、統一的な衛生規定の適応が困 難なことが指摘されている。そうした場合には、加盟国が柔軟に対応できる。 また、HACCPシステムの導入には、専門的な技術が必要で、中小企業では対 応困難な場合がある。このため、分野別に優良衛生措置規範を設定するなどの支援 措置を行う。 (動物由来の食品に対する追加規定) 多くの点で細かい規定を改定し、より柔軟性のあるものにする。これはHACC Pシステムの導入により、規定の単純化が可能になるという意図である。また、と 畜時の枝肉の汚染を減少させるための新しい規定を導入する。 (加盟国当局による管理) 例えば、食肉カット工場で資格ある獣医師の下、訓練を受けた食肉検査技師が検 査を行うなど、加盟国の行う獣医学的管理に柔軟な対応を取れるようにする。
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