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EU委、肉骨粉の飼料使用禁止などを再提案
【ブラッセル駐在員 山田 理 11月30日発】EU委員会は11月29日、牛海綿状 脳症(BSE)対策の強化案を採択し、12月4日に開催が予定される緊急農相理 事会に提案することを明らかにした。合意されれば、2000年1月から実施に移さ れる見込み。 強化案は、@すべての家畜に対し、肉骨粉の飼料向け使用を6ヵ月間の暫定的 禁止、A30ヵ月齢以上の牛のすべてを対象にしたBSE検査の実施、B牛の腸す べてを、BSEの感染源となる可能性の高い特定危険部位(SRM)として除去 ・廃棄するといった3項目のBSE感染防止策およびC30ヵ月齢以上の牛から得 られた牛肉の買い上げ・廃棄(BSE検査を実施した牛を除く)、D生産者価格 の低下に対応するため、介入買入制度の弾力的運用、E肉牛生産農家の経営状況 を配慮し、牛肉関連奨励金の前渡し金の比率を60%から80%に引き上げを合わせ た6つの項目からなる。 以上の提案は、同日公表されたEUの科学運営委員会(SSC)の勧告を受け てのもの。SSCは、11月20〜21日に開催された前回の農相理事会の決定に基づ き、フランス国内のBSE対策およびスペイン、イタリア、オーストリアなどが 実施したフランスからの生体牛などの輸入禁止措置について、科学的見地からそ の妥当性を検証していた。 SSCはその勧告の中で「BSEの感染リスクを持つ肉骨粉を含む他の畜種用 飼料の牛用飼料への混入は、動物と人の健康にとって重大な問題である」と指摘 した。各国は、飼料混入の危険性を調査すべきであるとし、飼料混入が認められ た場合、家畜だけでなくペットなども含め肉骨粉の飼料使用を暫定的に禁止する ことがBSEの感染を防止する最も効果的な対策であると勧告している。 問題とされた肉骨粉は、EUにおいて年間約3百万トン生産されているが、こ のうち250万トンが飼料向けとして域内で消費され、残り50万トンが輸出されてい る。仮に、全量を焼却処分にした場合の費用(肉牛生産者や肉骨粉製造業者の従 来の取り分を含む)は、30億ユーロ(約2,910億円:1ユーロ=97円)に上るとみ られている。 また、飼料の栄養構成の中で、肉骨粉は重要なタンパク質供給源となっている。 これを代替できるのは大豆ミールなどの油糧種子類であるが、短期的には輸入に 頼らざるを得ないのが現状である。 前回の農相理事会でも肉骨粉の飼料使用禁止が検討されたが、使用禁止に伴う ばく大な経費や影響の大きさからBSE非発生国の反対が強く、採択に至らなか った経緯がある。 しかし、今までBSEの発生が確認されていなかったドイツやスペインで相次 いで発生が確認されたことで、肉骨粉の使用禁止をめぐる情勢は大きく変わりつ つあり、EU委員会の再提案につながったものとみられる。 なお、スペインなどが実施したフランス産生体牛などの輸入禁止措置について、 SSCは「フランスのBSE発生増加の水準は、輸入禁止措置を容認する新たな 科学的根拠を与えるものではない」として、輸入禁止措置の妥当性を明確に否定 した。このため、EU委員会では、来週の農相理事会において、これらの国々の 禁止措置解除に向けて、何らかの進展があるものとの見方を強めている。
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