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北米3ヵ国が口蹄疫発生のシミュレーションを実施
【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 11月30日発】米国、カナダおよびメキシコ の北米3ヵ国は、11月6日から4日間にわたり、口蹄疫が発生した場合のシミュレ ーション(模擬実験)を共同で実施した。これは、「3ヵ国演習・2000」と銘打 ったプログラムの一環で行われた初の試みであり、世界各地で口蹄疫の発生が相 次ぐ中で、国境を接した3ヵ国における危機意識の高まりを反映したものである と言える。 本プログラムの目的は、口蹄疫が発生した場合に備え、内外の関係機関との迅 速な連携を通じて、被害を最小限に食い止めるためのワクチンの使用手続きなど に関する3ヵ国共同計画を検証・確立することにある。具体的には、@口蹄疫の まん延防止・撲滅プログラムにおけるワクチンの使用に関する各国間の意思決定 プロセス、Aワクチン使用の是非を決定するに当たっての各国間の連携事項、B 北米口蹄疫ワクチン・バンク(3ヵ国が共同参加)との契約方法、C米国内にお いてワクチンを使用する場合または使用しない場合における関係機関の効率的な 連携方法などについての評価が行われることとされている。 本プログラムに参加するのは、米国農務省(USDA)動植物検査局、カナダ 農業・農産食料省食料検査庁、メキシコ農業牧畜農村開発省をはじめとする関係 機関の専門家が中心である。今回のシミュレーションは、米国がテキサス州、カ ナダがオンタリオ州およびアルバータ州、メキシコがタマウリパス州の計4ヵ所 で同時に実施された。 うち、米国テキサス州では、同州内において口蹄疫が発生したとの想定の下、 同州の家畜衛生委員会(TAHC)やUSDAなどが組織する緊急対応チームに よる、生産者、民間の獣医師および業界関係者の協力を仰いでの、まん延防止の ための初期動作のシミュレーションが行われた。 現時点で公表されている11月7日までのシミュレーションの概略は、次の通り (以下、仮想の下での対応)。『11月1日、メキシコとの国境近くの町で、口蹄 疫感染の兆候が見られる肥育豚が死亡したとの通報あり。USDAは同州の担当 官を派遣し、サンプルを採取。2日、同州北部の別の町で、メキシコから輸入さ れた30頭の去勢牛にも同様の兆候。これらは、前日の町の家畜市場を経由したも のであることが判明。3日、緊急対応チームが組織され、疑似患畜の殺処分・焼 却などが決定・実施。6日、血液検査およびウィルス検査の結果、いずれも口蹄 疫の患畜であることを確認。7日、TAHCが緊急会議を召集し、今後の対応策 を検討。連邦政府が、テキサス州内の家畜の移動制限を命令。前述の患畜牛と一 緒にメキシコから輸入された別の牛群からも感染の兆候が見られるなど、被害が 広がる傾向・・・。』 USDAは、今回のシミュレーションで多くの成果が得られたとしつつも、計 画の整備に向けた作業は、今まさに始まったばかりであるとコメントしている。
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