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豪州酪農乳業団体の再編が加速
【シドニー駐在員 幸田 太 12月7日発】豪州酪農乳業界の代表で最高決定機関 である豪州酪農乳業協議会(ADIC)は、12月6日にメルボルンで行われた年次 総会において、豪州酪農庁(ADC)と酪農研究開発公社(DRDC)の2団体を 統合し、デイリー・オーストラリア(DA)と呼ばれる新団体を設立することを発 表した。新団体は、業界内での調整を行った後、今後2年以内に設立が予定されて いる。 今回の統合は、今年7月1日から行われた酪農乳業制度改革の一環として、飲用 向け生乳および加工原料乳の助成措置などの撤廃に伴う業界団体の再構築が織り込 まれており、それを受けてのものとなった。 ADICは、酪農家、製造業者および流通業者の代表からなる46人によって構成 され、連邦政府から独立している酪農乳業の産業政策の最高決定機関である。AD Cは、農林漁業省所管の法律に基づき設立された特殊法人で乳製品の売買、ADI Cの策定した国内外の政策の実施、情報の収集提供などを行っており、総員は80名。 DRDCは豪州連邦政府などの基金と酪農乳業からの課徴金により活動する研究開 発機関であり総員20名、豪州酪農生産者連盟(ADFF)や豪州乳製品組合(AD PF)と連携を取りつつ活動している。従ってADCとDRDCはADICの政策 の執行、調査機関的な位置付けとなっているが、再編後の事業内容などの詳細は、 現時点では公表されていない。 一方、豪州乳業界もあわただしい動きを見せている。豪州の飲用乳メーカーはニ ューサウス・ウエールズ(NSW)州を基盤とする協同組合ディリーファーマーズ (DF)社、ビクトリア(VIC)州の地元資本ナショナルフーズ(NF)社、ク インズランド(QLD)州のイタリア資本パーマラット(PM)社が突出しており、 各社が激しいシェア争いを展開している。今年8月には、飲用向け生乳の取引自由 化後に、初めて行われた国内大手小売ウルワース社のプライベート・ブランド(P B)牛乳入札でDF社がVIC州、QLD州の供給を勝ち取った。その後NF社と PM社は、それぞれ約8億豪ドル(約480億円:1豪ドル=60円)と6億豪ドル(約 360億円)でDF社と合併を提案してきたが、その提案をDF社が拒否する報道が 先日なされた。合併を拒否されたNF社は、乳業規制撤廃で合理化を目的とする業 界の再編は必要不可欠であり、今後も新たな合併先を模索すると述べており、これ までもニュージーランド・デイリーグループ(NZDG)に株式7%を売却し業務 提携を発表した。 また、VIC州の酪農協母体の乳製品メーカーであるボンラック・フーズ社は、 NZDBに25%の株式を売却し業務提携を行った。背景には今年9月、ニュージー ランド(NZ)で巨大乳業メーカー構想が、NZDGとキウイの2大組合の見解の 相違でとん挫したため、海外販売体制の強化が求められたものと考えられる。ちな みにボンラック社は今年1月末までは、DF社との合併を検討していたが、最終的 にNZDBとの提携を選択した。一方、西オーストラリア州の乳製品加工販売業者 であるピ−ターズ・アンド・ブラウンズフード社もNZのキウイ社に対し約50%の株 式を売却し、業務提携を行っている。また、NZでは、巨大乳業メーカー設立の要 望が根強く両組合による対話が再度持たれているとの報道もされている。 今後も豪州、NZそれぞれの国内はもとより、オセアニア全体で酪農乳業界の再 編の動きが一層加速されることが予想される。
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