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用途別乳価算定方式の最終規則案を発表(米国)
【ワシントン駐在員 樋口 英俊 12月8日発】米農務省(USDA)は12月1日、 連邦ミルク・マーケティング・オーダー(FMMO)制度に基づく、クラスV(チ ーズ向け)およびクラスW(バター、脱脂粉乳等向け)の価格算定方式の最終規則 案を発表した。 この中で、生乳生産者団体から引き下げの要望が強かった製造経費見合額につい て、クラスVの価格の算定に使用されるチーズは、対象となるチーズの水分規格が 変更されたため、現在の1ポンド当たり0.1702ドル(約18.7円:1ドル=110円)か ら0.165ドル(約18.2円)へと引き下げられた。一方、クラスW価格の算定に使用 されるバターと脱脂粉乳については、それぞれ現在の1ポンド当たり0.114ドル (約12.5円)および0.137ドル(約15.1円)から、0.115ドル(約12.7円)および0. 140ドル(約15.4円)へと引き上げられたが、対象となる脱脂粉乳の歩留まりの値 が現在の1.02から1.00に引き下げられたことで、生産者への減収効果は、ほぼ相殺 されるものとみられる。 また、クラスV価格の算定について、乳脂肪価格を従来のバター価格ではなく、チ ーズの乳脂肪の価格に基づくこととした。また、乳たんぱく質価格についても、バ ターとチーズ間の乳脂肪の価格差を調整するための項を含めずに、チーズの乳たん ぱく質の価格に基づくこととしている。これは、例えば、現行では、チーズ価格が 値上がりしている状況で、同時にバター価格が上昇した場合、チーズの乳脂肪価格が 上昇し、本来値上がりすべき乳たんぱく質の価格が結果として低下するなどという ゆがみが生じることに対処するものである。 今回の動きは、99年11月にFMMO制度改革の修正法案を含む2000年度包括統合 予算法において、クラスVおよびWの価格算定方式に関する公聴会の開催、2000年 12月1日までの最終規則発表、2001年1月1日からの新方式の施行が、USDAに 対して義務付けられていたことに対応したものである(背景については、「畜産の 情報(海外編)」2000年3月号の特別レポート「米国の新酪農制度」参照)。 USDAは、本規則案について現時点では十分な意見を得られていないため、最 終規則の試案という形で公表するとともに、約60日間のコメント期間を設け、新方 式の施行後も必要に応じて、修正を加えるとしている。 USDAは、今回の見直しの影響について、非常に限られたものと見ているが、 最大の生乳生産者団体である全米生乳生産者連盟(NMPF)も、2000年11月まで のデータを利用し、クラスVの価格は100ポンド当たり0.05ドル(約5.5円)、クラ スWについては同0.12ドル(約13.2円)と、わずかな上昇にとどまると試算してい る。最高経営責任者であるコザック氏は、「NMPFは、今回の見直しが生産者に 大幅な収入増をもたらすことは、期待していなかった。FMMO制度をいじくり回 すのは、そろそろやめにして、生産者の収入増につながる他の方策の検討に労力を 注ぐべきである」と語った。
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