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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 1月26日発】アルゼンチンの隣国、ウ ルグアイにおける昨年来の干ばつは、農業生産へ甚大な被害をもたらした。 同国では、昨年9月頃からラニーニャ現象の兆候とされる雨不足が指摘されてい たが、今年1月中旬のウルグアイ農牧水産省の発表によれば、今回の干ばつによる 農業全体の被害額は、約2億5千万ドル(約263億円:1ドル=105円)に達 すると見込まれている。特にウルグアイ北部での被害は深刻で、農業団体によれば、 パイサンドウ県だけでも、牧草や水不足による家畜の死亡などの被害額は、約4千 万ドル(約42億円)に達すると見込まれている。 同国では、昨年11月に新大統領が誕生し、今年3月1日に新政権が発足する予 定であるが、ゴンサレス次期農牧水産大臣は、今回の干ばつによる被害について、 ウルグアイ農業がこれまでに経験した最も困難な状況の1つであるとしている。特 に夏作の穀物(大豆、トウモロコシ、ひまわり、米)や畜産への影響が大きいとさ れ、農牧水産省では、干ばつに耐えた夏作の穀物は、全体の20%程度で、農業部 門の回復は8月頃になると推測している。 1月中旬、現ウルグアイ政府は、干ばつへの緊急支援策として、被災農家に対す る資産税、付加価値税、雇用者負担の社会保障料の支払い期限を4月まで延長する ことなどを承認したと現地報道は伝えている。 これに先立ち、昨年11月下旬、農牧水産省が関係機関と協議した上、策定した 干ばつによる被害地域への支援策の概要は、以下の通りである。 ・税関、輸入規制、衛生規制に関する手続きの迅速化による飼料入手の簡易化 ・水路、家畜用貯水池などへのアクセスを改善する作業に必要な機材やサービスの 提供 ・国道や県道脇での放牧の許可 ・同省の家畜衛生管理当局による国内家畜への衛生管理強化 ・家畜用飲料水不足の緊急時に対応する事務所の設置 ・ボーリング用機材の在庫不足時における一時輸入制度による入手の簡易化の検討 ・大豆やひまわりのペレットに係る付加価値税撤廃の促進 ・酪農や肉牛生産者が国内外から入手する飼料、補助飼料の購入資金に対する共和 国銀行による融資の検討 ・農業保険料の支払いの軽減 ・穀物と飼料の在庫調査の実施とデータバンクの構築化など。 ウルグアイでは、農産物市況の低迷、レアル切り下げによるブラジル向け輸出の 減少などの影響により、農家経営の収益性の低下が伝えられる中、今回の干ばつに よる被害が発生した。こうした状況下で、ゴンサレス次期農牧水産大臣の打ち出す 農業政策が注目されるが、困難な就任スタートとなりそうである。
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