ALIC/WEEKLY


EU委が2006年までの農畜産物需給見込みを公表



【ブラッセル駐在員 井田 俊二 1月27日発】EU委員会は、99〜2006
年のEUにおける穀物、食肉および牛乳・乳製品等主要農畜産物の需給見込みを公
表した。99年11月現在の統計およびアジェンダ2000等に基づいている。な
お、EU加盟が見込まれる中・東欧諸国についても、併せて報告している。

 EU(15ヵ国)の主要畜産物需給見込みは、次の通り。
    
              (単位:千トン)
 

 生産量

 消費量

輸出入バランス

99

2006

99

2006

99

2006

牛肉

7,560

7,923

7,469

7,444

+535

+392

豚肉

17,904

18,312

16,750

17,249

+1,250

+1,060

鶏肉

8,806

10,050

8,139

9,310

+667

+740

バター

1,856

1,833

1,756

1,727

+ 55

+ 90

脱粉

1,160

994

985

867

+175

+155

チーズ

6,695

7,303

6,651

7,252

+285

+286

(注)食肉は枝肉ベース。輸出入バランスは輸出−輸入。

 牛肉生産は、牛の生産サイクルや牛海綿状脳症(BSE)対策の段階的解除に伴
い2002年にピークとなり、その後2005年まで減少する。ただし、長期的に
は乳用牛頭数の減少等により生産量は減少する。消費は、支持価格の引き下げや需
給緩和に伴う価格低下で一時的(2001〜3年)に増加する。ただし、中・長期
的には、消費者嗜好が豚肉、鶏肉へ向くのは変わらない。

 豚肉生産は、近年の大幅増産の調整で短期的に前年を下回るが、その後、緩やか
に増加し高水準の生産を維持する。消費は、鶏肉には及ばないものの、緩やかに増
加する。輸出は、短期的に減少するが増産を背景に中期的に増加基調となる。

 鶏肉生産は、堅調な需要および輸出を背景として今後順調に増加する。消費は、
消費者嗜好および価格面で他の食肉より優位にあるため、引き続き増加する。支持
価格の引き下げにより飼料穀物価格が低下し、価格競争力は一層強くなる。

 生乳生産は、クオータが2000〜2年および2005〜6年に増加する。ただ
し、生乳生産量は、乳脂肪率の上昇や自家消費向け生産の減少等の影響により増加
幅は限定される。

 バター生産は、今後、消費需要の低下が見込まれる状況にあるものの、生乳生産
増加分の多くが、バター生産に仕向けられる可能性が高いことから、ほぼ現状と同
水準で推移する。消費は、86〜94年に減少した後、近年安定していたが、今後
は緩やかに減少する。この結果、バター在庫量は徐々に増加する。

 脱脂粉乳生産は、需要の低下および脱脂乳を原料とする他の乳製品(チーズ等)
の増加により引き続き減少する。ただし、生乳生産増加分の一部が脱脂粉乳生産に
仕向けられる可能性が高く、2000〜1年には脱脂粉乳在庫量が増加する。消費
は、食品向けは安定しているが、家畜飼料向けは引き続き大きく減少するため全体
として減少する。

 チーズ生産は、過去20年間、堅調な消費と輸出を背景に順調に増加したが、近
年輸出減少を背景に増加率は減速した。今後は、輸出の回復が遅いため緩やかな増
加となる。消費は、今後も引き続き増加するが、過去と比較して増加率は低い。


元のページに戻る