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【シドニー駐在員 野村 俊夫 1月27日発】豪州食肉家畜生産者事業団(ML A)は、先週、豪州生体家畜輸出公社(ライブ・コープ)とともに、これまで公表 していた生体家畜輸出に関するデータを修正する旨を明らかにした。 これによると、MLAは、生体家畜輸出に関する従来の公表データが不正確なの ではないかとの疑念に基づき、税関への申告書類に基づく正確なデータを入手する べく豪州統計局(ABS)と折衝していたところ、その合意が得られたため、新た に入手したデータと過去の公表データを照合・検証していた。その結果、公表デー タが過去2年以上にわたって実際の頭数を大幅に下回っていたことが判明したため、 直ちに修正を行ったとしている。 これにより、昨年1月から11月までの間の生体家畜輸出頭数は、羊が382万 7千頭から474万3千頭へと91万5千頭(23.9%)、牛についても、52 万7千頭から75万4千頭へと22万7千頭(43.1%)、それぞれ上方修正さ れることとなった。 特に、生体牛については、インドネシア向け輸出が13万4千頭へと2倍以上に 修正されたほか、フィリピン、エジプト、中東諸国などの主要市場向けが、いずれ も大幅に上方修正された。これにより、99年を通じた総輸出頭数は、アジア経済 危機による大幅な落ち込みから回復し、過去のピークであった97年の88万3千 頭に近い水準に達すると見込まれることとなった。 豪州では、昨年来、国内向けのと畜・肥育向け肉牛の供給が大幅に不足しており、 取引価格が高値で推移している。このため、業界関係者は、豪州北部から輸出され ている生体牛の頭数が、実際は公表データを大幅に上回っており、このことが国内 への肉牛供給を圧迫しているのではないかと懸念していた。今回のデータ修正は、 この懸念を裏付けたことになる。 生体牛輸出の増加と、それに伴う肉牛価格の高騰は、肉牛生産者にとっては朗報 だが、パッカーやフィードロットにとっては経営を圧迫する要因となる。国内の肉 牛飼養動向から見ても、と畜・肥育向け肉牛の供給が直ちに増加することは望めそ うにないだけに、これらの業者にとっては、当面、肉牛の確保をめぐる厳しい状況 が続くものとみられる。 豪州の生体牛輸出頭数 (単位:頭)
輸出先 |
99年1〜11月 |
98年1〜11月 |
インドネシア |
134,228 |
25,061 |
フィリピン |
248,858 |
189,794 |
マレーシア |
60,375 |
42,227 |
エジプト |
213,828 |
115,366 |
リビア |
23,115 |
102,543 |
中東諸国 |
39,166 |
32,418 |
その他 |
34,767 |
43,359 |
合計 | 754,337 |
550,768 |
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