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【シンガポール駐在員 伊藤 憲一 1月27日発】EUが輸入する鶏肉について は、EUが定めた基準に基づき飼養および処理加工されたものに限るとして、EU はタイの鶏肉処理加工業者などに対し施設の改善などを求めていた。 これを受けて、タイ農業協同組合省畜産振興局は、EUへの鶏肉輸出をこれまで 以上に確保し、鶏肉加工処理業者などに同基準の順守を徹底させるために、飼養、 輸送およびと畜処理段階における鶏の飼養・管理および保護などに関する規則を定 め、99年11月15日に同局長名で関係者に通達した。 同局が定めた規則の主な内容は、次の通りとなっている。 1 養鶏場で飼養される鶏の飼養・管理運営については、 @ 飼養管理する人員は、開放鶏舎では1万羽、閉鎖鶏舎では4万羽につき1人 の割合を確保すること A 鶏舎内1平方メートル当たりの鶏群総重量は、開放鶏舎で20s、閉鎖鶏舎で3 4sを超えないこと B 閉鎖鶏舎の換気に関して、ちりは1立方メートル当たり15r以下とし、気体濃 度はアンモニアが20ppm 、一酸化炭素が50ppm、二酸化炭素が5千ppm以 下にそれぞれ保つこと C 照度は、10ルクス以下とし、少なくとも1日に1時間休息のために暗やみを 与えること D 飼養管理者は、定められた様式に基づき鶏の飼養・管理および鶏舎施設の維 持に関する事項を記録し、2年間保管すること などと規定している。 2 養鶏場などから加工処理施設へ輸送される鶏については、 @ 鶏の体型に応じた動きが可能となる空間を確保し、ストレス、苦痛などを最 小限にとどめること A 輸送する車両の換気には十分配慮し、鶏の安全を確保すること B 輸送時間は可能な限り短縮するとともに、処理加工場との連絡を密にし計画 的に輸送すること C 病気もしくは傷ついた鶏の輸送は禁止するとともに、輸送中に傷ついた鶏は 適切に処理すること などと規定している。 3 と畜処理場における鶏の処理加工については、 @ 鶏を処理するに当たっては、事前に直射日光を避けた換気などの良好な場所 で十分な休息を与え、ストレス、苦痛などは最小限にとどめるよう配慮する こと A 処理場の構造、設備などは、鶏に苦痛、虐待、ストレスを与えるものであっ てはならないこと B 鶏を仮死状態にするに当たっては、電気麻酔装置を使用すること などと規定している。 なお、上記2および3については、具体的な数値は盛り込まれず、一般的な注意 事項が主体となっている。 一方、鶏肉処理加工業者などは、昨年12月にEU基準に基づき改善した施設に ついて、EUの検査官の立ち入り検査を受けた。その結果、EUは、検査を受けた 9鶏肉処理加工施設の軽微な改善点を1月末までに同局に指摘するとし、3月末に は最終結果を公表する予定としている。
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