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【ワシントン駐在員 本郷 秀毅 1月27日発】米農務省(USDA)は1月1 9日、最近の生乳価格の低迷に対する支援対策として、総額1億2千5百万ドル (131億円:1ドル=105円)に及ぶ、酪農家に対する直接補助金の交付を発 表した。 USDAは、昨年も、99年度(98年10月〜99年9月)包括歳出法案に基 づく農家緊急支援対策の一環として、酪農家に対し2億ドル(210億円)の直接 補助金の交付を決定し、昨年の夏、当該補助金の交付を行っている。これは、昨年 2月、飲用規格生乳の最低価格算定の基礎として用いられていた基礎公式価格(B FP)が、前月に比べ過去最大の6ドル、率にして37%もの大幅な下落を示し、 このような低水準の価格がその後数ヵ月にわたり継続すると見込まれたことに対処 したものであった。 今回、USDAにより発表された酪農家支援対策は、昨年10月に成立した20 00年度農業関連歳出法案において総額87億ドル(9千1百億円)の緊急農家支 援対策が決定され、その一環として措置されたものである。全国生乳生産者連盟 (NMPF)によれば、農家の生乳受取価格は、この4ヵ月の間に40%以上も下 落し、78年以来の低水準となっているとしている。今回措置された対策は、この ような状況に対応したものであり、グリックマン農務長官によれば、「今回の支援 対策は、価格が安定するまでの間、多くの中小酪農家が経営を継続するのを支援す るための措置である」としている。 基本的な事業の仕組みは、昨年夏に交付された直接補助金とほとんど同じである。 補助金の交付は、97年または98年のうちいずれか生産量の多かった年を基準と して、最高260万ポンド(1,179トン)までが対象となる。補助金の交付を 受けるための酪農家の要件は、98年第4四半期において生乳の生産を行っていた ことである。これに対し、NMPFは、補助金交付の対象は99年末に経営を維持 していた酪農家に限り、99年に経営を中止した酪農家が補助金の交付を受けるの を避けるべきであるとして、やや批判的な態度を示している。 最終的な支払単価は、酪農家の申請状況によって決定されることとなるが、NM PFの試算によれば、生乳100ポンド当たり0.14ドル(0.32円/s)の 補助金を受けることになる。経産牛80頭、1頭当たり生乳生産量1万7千ポンド (7,711s)、年間生産量136万ポンド(617トン)という平均的な酪農 家の場合、1,900ドル(20万円)の補助金を受け取ることになる。上限量ま で生産している酪農家は、およそ3,600ドル(37万8千円)の補助金を受け 取ることになる。 昨年は、7万6千戸の酪農家が対象となった。
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