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99年のアルゼンチン農産物輸出額は減少



【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 2月24日発】アルゼンチンでは、農林
水産品(1次産品)およびその加工品の輸出額が全輸出額の約6割を占め、外貨獲
得上、極めて重要な位置付けにあると言える(そのほか、鉱工業製品は約3割、燃
料エネルギーは約1割を占める。)。

 INDEC(国家統計局)によれば、アルゼンチンの99年1〜12月における
農林水産品およびその加工品の輸出額(速報値、FOBベース)は、前年を12.
5%下回る約134億5千万ドル(約1兆4千8百億円:1ドル=110円)とな
った。

 米州農業協力機関(IICA)は、99年のこれらの輸出額が減少した理由とし
て、農産物の国際市況の低迷、ブラジルの通貨切り下げ、気象状況の影響や作付面
積の減少による穀物の生産量の低下、為替要因などを挙げている。また、ブラジル
やEU向け輸出の価格競争力が低下したことを強調している。しかし、酪農品・鳥
卵は、対前年比で19%増となった。これは、アルゼンチンの酪農業界が補助金に
依存せず、投資の増加で設備の近代化を図ったことによるものと評価している。

 99年の主要地域別輸出額のシェアを見ると、農林水産品では、EUが31%、
メルコスル(南米南部共同市場)が27%、農林水産加工品では、EUが29%、
メルコスルが14%、北米自由貿易協定(NAFTA)地域が11%を占める。特
に、ブラジルの通貨切り下げによる影響を強く受けたメルコスル向け輸出は、対前
年比で、農林水産品が24%、農林水産加工品が19%の減少となった。

 全輸出額の約2割(99年)を占める農林水産品の輸出額が、対前年比で21%
の下落を見せる中、ベロンガライ農牧水産食糧庁長官は、1次産品を製品化し、付
加価値を高めることを政策の柱の1つにすると表明している。また、これに関する
アルゼンチン国立農牧技術院(INTA)での研究結果を、生産者段階まで反映さ
せることで、アルゼンチン産農産物の特徴をより強調し、市場拡大に努めたいとし
ている。

 同国の99年1〜12月における品目別輸出額(速報値)の内訳は、以下の通り
である。

アルゼンチンの品目別輸出額(FOBベース)

 

(単位:百万ドル、%)

 98年

99年

 

対前年比

農林水産品(1次産品)

6,603

5,241

-20.6

 

穀物類

3,042

2,101

-30.9

油糧種子等

1,052

863

-18.0

魚介類

526

493

-6.3

生鮮果実

492

457

-7.1

野菜類

461

268

-41.9

その他

1,031

1,059

2.7

農林水産加工品

8,762

8,210

-6.3

 

油脂

2,734

2,364

-13.5

食品残さ

2,006

2,081

3.7

食肉

830

809

-2.5

皮革・毛皮

812

789

-2.8

酪農品・鳥卵

315

374

18.7

その他

2,065

1,794

-13.1

鉱工業製品

8,624

6,907

-19.9

燃料エネルギー

2,451

2,959

20.7

   輸出額合計

26,441

23,318

-11.8

資料:INDEC(国家統計局)

(注)四捨五入等の関係で必ずしも計は一致しない。




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