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米国、原産国の扱いについて枝肉格付制度を見直す意向



【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 2月22日発】既報(本紙2月8日号)の通
り、米農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)は、牛肉および羊肉の原産
国義務表示制度を導入することについて、慎重な姿勢を示唆する報告書を公表した
が、2月上旬、USDA農業マーケティング局(AMS)は、任意の制度である枝
肉格付制度において実質的な原産国を意味する格付印の適用を、輸入枝肉に対して
は廃止またはより厳格なものとするための3つの見直しオプションを告示した。

  これは、昨年夏以降、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)および米国羊産業
協会(ASI)がUSDAに対して要請していた内容に応えたもので、NCBAが
模索している小売業者との連携による自主的な原産国表示プログラムの実施と併せ
た、原産国表示義務化の次善策とも言える。

  現行の1946年農業マーケティング法関連規則の下では、格付けは家畜がと畜
または最初に冷蔵された場所で行われなければならないとされている。

  NCBAは、他国でこうした処理が行われた後、米国に輸出された牛枝肉が、結
果的に米国内で「USDA」という格付印を付された後、米国産であるかのごとき
扱いで販売されていることについて消費者が知る由もなく、これまで築き上げてき
た高品質のUSビーフの評価にただ乗りするものであり、容認できないとして、輸
入牛枝肉に対するUSDAの格付けそのものを廃止するよう求めていた。

  実際上、米国内で格付けが行われる前に原産地がらく印されたものを除き、輸入
枝肉は国産枝肉と同じ扱いを受けており、仮に原産地を示す印が付されているとし
ても、流通段階で枝肉の処理・加工が進むにつれ、そのほとんどが失われてしまう
ということをUSDAは認めている。

  今回AMSが告示した3つのオプションは、@すべての輸入された牛、羊および
子牛の枝肉に対する格付けを廃止する、A輸入枝肉が部分肉に分割された後も原産
国を明らかにするため、各部分肉にも格付印の保持を義務付ける、B格付けされた
輸入枝肉に対しては原産国を示すような格付印は適用しない、というものであり、
AMSは、本年4月3日までの期間で、すべての利害関係者からのコメント等を受
け付けるとしている。

  USDAによると、これまで、生産者団体であるNCBAやASIとは対照的に、
米国食肉協議会(AMI)などの処理加工関連の団体、さらには在米カナダ大使館
までもが、現行格付制度の存続を求めていた模様であり、特にカナダとの間では、
新たな貿易紛争の火種となるのではないかとの見方もある。

  なお、USDAは、99年に、米国内で2千7百万以上の国産牛枝肉と3百万以
上の羊枝肉がUSDAの格付けを受けたのに対し、輸入牛枝肉および輸入羊枝肉は
それぞれ5万および8万1千程度であり、輸入子牛枝肉に至っては格付実績がない
としている。


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