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EU委員会が食品の安全性に関する白書を公表



【ブラッセル駐在員 井田 俊二 1月13日発】EU委員会は、1月12日、E
Uにおける食品の安全性に関する白書を公表した。

 この白書は、高水準の食品安全基準を確保し、食品の安全性に対する消費者の信
頼を回復することを目的として、今後の施政方針を提案している。

 EUでは、近年食品の安全性に関する消費者の関心が急速に高まっている。特に、
96年のイギリスにおける牛海面状脳症(BSE)問題、99年のベルギーにおけ
る鶏肉等のダイオキシン汚染問題およびフランスのおける家畜飼料への汚泥混入問
題等は、社会的に大きな関心を集めた。これらの問題は、EU各国に大きな経済的
損失をもたらすと同時に、食品の安全性に対する消費者の信頼を失墜させる結果と
なった。また、これらの問題により現行のEU関連諸規則の欠陥が露見したと言え
る。

 このため、昨年9月に新たに発足したEU委員会は、食品の安全性の確保を最重
要課題の1つとして位置付け、改善策を検討してきた。

 今回の白書では、この対策として次のような方策が提案されている。

 第1に、2002年から独立機関として欧州食品庁を創設し、次の業務を実施す
る。
・多面的な食品の安全性に関する科学的なアドバイス
・緊急問題発生時の迅速な対応システムの運用
・食品の安全性と健康に関する消費者とのコミュニケーションおよび情報提供
・加盟国の食品の安全性に関する機関との連携等

 ただし、この提案では、同機関に法的権限は付与されないこととなっている。

 欧州食品庁の創設については、2000年4月までに加盟国、関係業界、消費者
等の幅広い分野から意見を集約し、2000年9月までにEU委員会が正式な提案
を行う予定である。

 第2に、現行の食品安全性に関する諸規則を大幅に見直すことを提案している。
この結果、84の規則が見直されるが、その対象は、家畜飼料、家畜衛生、動物愛
護、食品衛生や遺伝子組み換え(GM)食品を含む新規食品、食品添加物、食品香
料および包装など広範囲にわたっている。これは、食品の安全性に関する規則を農
家から消費者の食卓に至るまで包括的にとらえ、理解しやすく一貫性があり、かつ、
柔軟性のあるものとするためである。

 例えば、家畜飼料の原料に関して使用制限を定めた規則については、現行では使
用禁止物質リストが提示されているものの、規定が不明確とされており、使用可能
物質リストを提示することにより規則の明確化を図るなどの見直しが盛り込まれて
いる。

 すべての規則は、2001年までにEU委員会から提案され、遅くとも2002
年までにEU理事会、EU議会で採択される予定である。


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