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カナダの乳価制度問題、WTO提訴国と合意



【デンバー駐在員 樋口 英俊 1月11日発】カナダ政府は昨年12月23日、
世界貿易機関 (WTO)上級委員会が同年10月、同国の乳価制度を輸出補助金と
認定し、WTO協定違反とした裁定への対応策について、同国を提訴していた米国
およびニュージーランドと合意した。

 WTO上級委員会は昨年10月13日、米国・ニュージーランドの提訴を受けて
争われてきたカナダの乳価制度について、輸出補助金と認定し、WTO協定違反と
したWTO紛争処理小委員会(パネル)の判断を支持する旨の裁定を下した。これ
を受けて、カナダ政府は裁定結果への対応を迫られていた。
 
 カナダの乳価制度は、国内向けのほか、輸出向け主体のスペシャルクラスを設定
したもので、実質的な二重価格制度となっている。乳業者は国内向けに比べて、輸
出向けには安い乳代を支払うことから、この制度は実質的に輸出補助金に相当し、
WTO協定に違反するとして、米国はWTOに提訴し、後にニュージーランドもこ
れに同調して提訴に加わった。米国は、この制度が輸出補助金に相当すれば、カナ
ダの輸出補助金の上限を過去3年間で1億6千万ドル(約166億円:1ドル=1
04円)超過していると主張していた。

 今回の合意の下で、カナダ政府は、乳製品に関する輸出補助金の上限順守に向け
た措置に直ちに着手することとされており、補助金付きとみなされるチーズの輸出
量については、今販売年度(99年8月1日〜翌年7月31日)の上限を20,4
33トンに設定し、この枠内に収まるよう2000年3月31日をもってスペシャ
ルクラスの生乳取扱許可証の発行を停止するなど、現在の販売年度終了時までに輸
出補助金を大幅に削減していくこととしている。

 また、カナダ政府は、米国およびニュージーランド政府と共同で、段階的かつ透
明な乳製品の輸出補助金の削減スケジュールを作成していくこととしており、20
00/01年度にはWTO協定上認められた乳製品輸出補助金の上限を完全に順守
することとしている。この結果、補助金付きとみなされるチーズの輸出量は、9,
076トンが上限となり、これまでの半分以下に削減されることとなる。

 今回の発表について、バシェフスキー米通商代表は、カナダの輸出補助金の削減
で米国の酪農家は恩恵を受けることができるだろうと述べるとともに、WTOとい
うルールに基づく問題解決システムの重要性を強調した。

 また、この案件について、米国政府に強く働きかけてきた全米生乳生産者連盟
(NMPF)などの関係団体も、一様に満足の意を表明するとともに、乳製品貿易
政策のルールに明確さを与える意義深いものとのコメントを発表している。

 一方、WTO上級委員会では、個人消費用としてカナダ国内に持ち込める飲用牛
乳の価額制限(1回につき20カナダドル(約1,440円:1カナダドル=72
円))に関しても、WTO協定違反との裁定が下されていたが、これについてカナ
ダは、2000年2月1日時点で撤廃することとしている。


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