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ブラジル、南部・中西部の口蹄疫清浄地域を発表



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 1月20日発】 99年12月28日、
ブラジルのモラエス農相は、同国の肉牛生産地帯であるブラジリア連邦地区(ゴ
イアス州の特別区)、ゴイアス州、サンパウロ州、マット・グロッソ州、ミナス
・ジェライス州、パラナ州の1連邦地区と5州を新たにワクチン接種口蹄疫清浄
地域と公式に発表した。今年5月の国際獣疫事務局(OIE)総会の公式認定に
間に合うよう、既に同事務局に要請している。

 この要請が認められれば、既にワクチン接種清浄地域と認められているリオ・グ
ランデ・ド・スル州とサンタ・カタリナ州の2州に続き、同国の肉牛飼養頭数の半分
弱、牛枝肉生産量の約半分を占める地域がワクチン接種清浄地域と認定されるわけ
で、南米からの牛肉輸出に新たな展開が見られそうだ(表参照)。

 パラナ州クリティバの在伯アルゼンチン領事館によれば、パラナ州は現在年間3
万3千トン(牛・豚肉)、金額で3千8百万ドル(39億9千万円:1ドル=10
5円)の食肉を輸出しているが、公式認定後はさらに20万トン、金額で3億6千
8百万ドル(386億4千万円)の輸出増が見込まれると州政府が発表したとして
いる。しかし、同州の業界団体筋は、現在、同州の牛肉生産量は年間約21万トン
で、国内需給も勘案すると輸出割合は多くても10%が限度で、この州政府発表は
政策的プロパガンダ(宣伝)にすぎないと見ている。

 ブラジルの99年の牛肉輸出量(枝肉ベース)は、98年の37万トンを大幅に
上回る50万トン前後と予測されている。価格競争力の強いブラジルの輸出攻勢に
遭って既に守勢に立つアルゼンチン。両国の牛肉は品質面で競合しないとはいうも
のの、公式認定後は、EUおよび米国の市場をめぐって市場獲得合戦が繰り広げら
れるのは間違いなさそうだ。

ブラジル関係5州の牛飼養頭数および枝肉生産量等(98年)

                                                        (単位:千頭、千トン)

地 域

牛飼養頭数

と畜頭数

牛枝肉生産量

フィードロット頭数

輸出量

パラナ州

9,270

2,309

490

90

-

サンパウロ州

12,039

4,471

991

370

-

ミナス・ジェライス州

19,269

3,047

603

135

-

マット・グロッソ州

14,925

2,634

550

140

-

ゴイアス州

15,272

2,994

609

165

-

小計

70,776

15,455

3,243

900

-

ブラジル全体計

150,277

30,929

6,422

1,415

370

資料:コンサルタント情報

注:輸出量は、枝肉ベース


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